ランサーエボリューションで、楽しく速く走るのに欠かせないモノってなに?
もっとパワー? ノンノンノン
車高調? なくても良いで
じゃあ、なに?
それは・・・
L.S.D(リミテッドスリップデフ)!
フロントのね。
FFベースの4WDであるランエボさん、フロントで掻くって大事ですよ。
ターンイン後にコーナーの出口前、まだ完全に向きが変わりきってないトコで。
FRとかなら、繊細なアクセルワークが要求されるトコ。
そこで無造作にアクセルオン。
ステアリング戻しきってないのに、切った進行方向に向けて豪快に立ち上がる。
こういう、いわゆる「エボ乗り」って、フロントLSDがあってこそ。
ハマるとホント、快感です。
で、私のエボ7。
LSDはいろいろなメーカー物がありますが。
私のはクスコのRSタイプが入ってました。
このRS、高寿命というか、OHのサイクルが格段に長い、ってのがウリでしたが。
さすがにちょっと引っ張りすぎた・・・
以前はまったくなかったチャタリング、もうガッコンガッコン。
交差点などでは注目を集めるどころか、心配そうに見つめられる始末。
完全にお亡くなりになった上、亡骸まで損壊するようなオーバーキル状態。
OHも考えましたが、RSの初期モノはデフケースに地雷がある場合もあるので、今回は新品交換にしました。
今回の作業、新規開拓ということで、はじめて訪れるショップさんにお願いしました。
クスコ・LSD RS-Type スペックF
今回入れるデフ、せっかく新品交換なので、どうせなら新しく出てたヤツに。
正式名称は、CUSCO LSD RS-Type Spec-F 1-Way 499FT
ながっ!
クスコさんから出てるLSD、大きく分けると、RSタイプとMZタイプがありますね。
私みたいに古い世代の人なら周知だと思いますが、元々はMZのみ。
MZは普通の構造で、ATSとかKAAZなんかと基本は同じ構造です。
そこに新構造のRSが登場。
イニシャルトルクをサイドスプリングで掛ける構造で、フリクションプレートの消耗を軽減する、って造り。
クスコとしては、これでRSに移行してMZは廃番の予定だったんですが。
ところがRSには新機構による構造上のクセがあって、これが競技者にはちょいと不評だった。
RSはデフフリーからデフロックまでの移行が、ちょっと唐突というかオンオフが明確すぎ。
アクセルワークのウマいFRやMRの乗り手だと、もっと段階的に効いて欲しいワケです。
私みたいに、アクセルをスイッチのオンオフみたいに踏んじゃう、ちょっとアタマの悪いタイプの4WD乗りの場合は、RSの効き方でも問題ないんですけど。
けっきょく、競技系の人達はMZタイプに戻ってしまって、クスコも販売を継続せざるを得なくなった。
あとRSタイプは、ある程度以上にヘタってくると、なぜかガコンガコンにチャタリングしまくる。
効きは弱々になるのに、やたらとガコガコになるんですよ。
今回は以上のことも考えて、MZタイプも検討したんですが。
やはりRSの、ガコガコが始まる前までの効きの持ちの良さ。
そして街乗り領域での効きのマイルドさ、そして新しく出たスペックエフがRSのネガな部分を消せてるかの好奇心もあって、あえてまたRSを買ってみました。
499FTというのは、カム角が35°・45°のチョイス、1Wayのみ。
35°は効き始めがゆるやかで、ターマック向け。45°はグラベル向け。
これに対して、499CTもあります。
499CTは、カム角は45°のみ。その代わり、1.5Wayへの変更可。
さて肝心の交換作業をお願いするショップさんですが。
これはかなり探しました。
ランサーエボリューションのフロントデフの場合。
世代によって作業方法が違います。
Ⅶ~Ⅸの第3世代は、デフがトランスファー内にありますので、デフ交換の際にミッションだけでなく、トランスファーも降ろします。
このあたりの作業の手順をどう進めるかで、作業時間と工賃が大きく違います。
段取りが悪いショップだと、工賃だけで10万円ぐらい取られます。
段取り良いトコですと、その半額以下で済みます。
作業時間と工賃の高いトコほど、そこのノウハウとウデに不安が残ります。
何件ものショップさんのブログなどをチェックしたり、メール送ったりして、ようやくあるショップさんに依頼することにしました。
ショップさんに公開許可を取るのを忘れましたので、ショップ名や外観の画像などは控えますが、ラリー、ジムカーナなどの競技系で知られたショップさんです。
圏央道、関越道を使って行く遠方のショップなんですが、それでも90分で着きます。
テストアンドサービスの時なんて、下道渋滞のせいで、2時間以上かかってましたから、むしろ早い。
明快なトークのオーナーメカニックさんと、もう一人のメカニックの方の2人体制のようですが、お仕事は非常に早い。
追加でお願いした、他の作業もふくめても、2日で終了。
これが外したデフ。クスコ・RSタイプの最初期モノ。
最初期モノに稀にあるケース破損、これには無かったです。
ベアリングも特にダメージは見受けられません。
ショップさんでは中身もバラしてみたそうですが、破損等は無かったそうです。
このRSタイプ、なんでヘタるとガコンガコンになるのか、とっても不思議。
プレートの溝の当たり方がどう変化するんでしょうね?
ナニワトモアレ、ここんとこ一番の懸念だったフロントLSDがようやくリフレッシュ。
これでやっと走れます。
フルロック八の字メニューをはやいとこコナして、デフのナラシ終了させなきゃ。
LSDのナラシ
新品のLSDや、仕様変更したりオーバーホールしたLSD、必ずナラシが必要ですが。
ナラシの方法、けっこう色々と言われてて、悩ましいところ。
私は昔ながらのやり方、定番の”フルロック8の字”を行ってます。
今回このLSDを組んでもらったお店でも、やっぱりこの方法を薦められました。
やり方はカンタン。じゅうぶんな広さのあるスペースで、
ステアリングをフルロックで右回転
同じく左回転。
これで、左右それぞれ5回、8の字を描く。
これを5セット。
5セットやったら、じゅうぶんにデフを冷ますか、翌日以降にまた5セット。
トータルで5セットを5回やって、ナラシ終了。
もしくは、急が付く動作を避けた街乗りを1000km。
その後にオイル交換。
8の字の場合、コツは1速か、せいぜい2速のギアでスローに行う。
ここでターンのときにアクセルを抜くって説がありますが、私はトラクション掛けないと意味がないと思う。デフが1Wayの場合は。
あと意外とデフオイルが高温になるので、調子に乗って連続でぐるぐる回らない、ってこと。
プレートに熱を入れすぎると、変なアタリ付いたりしてナラシにならない。
ちなみに、数年前から ”オーバーホール不要のLSD” として巷では評判の、OS技研のスーパーロックLSD。
製品自体は昔からあるんですが。
当時物のLSDで10万キロとか15万キロ走った人が、最近になってバラしてみると、まったくヘタってないし、イニシャルトルクも効きも落ちてないという驚愕の事実が、YouTubeなどで公開されて大評判。
私も実は、このOS技研のデフが欲しかったんですが。
いつの間にやら、CT9A用は廃番になってました。
このOS技研の社長さん、これまでの常識をぶっ飛ばす内容を、この動画で語ってます。
内容は、ナラシの仕方と終了後のオイル管理について。
OS技研のLSDはオーバーホールは公道利用なら無し オイル交換は一万キロ毎 慣らし運転のやり方
ナラシは一般走行のみ、8の字は不要、そしてナラシ終了後に一回オイルを変えたら、その後は効きが落ちるまでオイル交換不要、という驚きの内容。
ただですね、これは動画内でも言ってますが、OS技研の製品にだけ当てはまること。
動画内の社長の説明によれば、フリクションプレートに溝がなく、指定された強烈に固いオイルによる油膜で圧着を実現してる、OS技研製デフの独特の構造から来るもの。
OS技研製以外のLSDの場合、もっと頻繁なオイル交換は必要ですし、オーバーホールも必要でしょう。あと、8の字ナラシも有効ですよ。