駆動系

ランサー・エボリューションは、フルタイム4WD。

クラッチ、トランスミッションから始まり、フロントデフ、センターデフ、リアデフ、プロペラシャフト、前後左右ドライブシャフトと、駆動系の構成パーツが多いので、必然的にメンテナンスの手間が多くなります。

クラッチ

CT9Aに関しては、クラッチはノーマルでも全然イケます。

エボⅦの時はクラッチフェーシングの材質に何か問題があったのか、減りが異常に早いというクレームがありました。

ですがⅧ以降の純正品の耐久性や圧着力などは、メーカー純正とは思えないほどの高性能ぶりです。

ヘタな社外品を入れるとチューンダウンになってしまうので、社外品を選ぶ際には慎重に吟味してください。

パワー、トルクがノーマルよりもかなり上がってしまった場合や、エンジンノーマルでもサーキット走行が多いなどの場合は、社外品に交換になります。

今までに使用した社外品クラッチでイチオシは、エクセディのカーボンクラッチです。

シングルとツインを使ったことありますが、ツインのほうが乗りやすかったです。クラッチの繋がる時のタッチ、ユニット全体の軽さからくる電撃シフトのしやすさ、すごく好感触でした。

カッパーミックスは、CT9Aの場合は中途半端なんですよね・・・あれだったら、純正使った方がいいです。

ランエボ

ちなみにⅧ以降の純正クラッチは、街乗り+峠ぐらいの使い方だと10万キロ以上、余裕で保ちます。クラッチワークが上手ければですが・・

フライホイールも、純正品で既に肉抜きされて軽量化されてます。社外品ほど超軽量にはなってませんが、街乗りでの扱いやすさを考えると程よい重量だと思います。

乗りやすさなんかどうでもいい、とにかくシフトに掛かる時間を短縮したい!という方は、社外品の超軽量タイプに交換です。

トランスミッション

エボⅥのRSぐらいから、5速ミッションに関してはギア比が選択できるようになっているのは、意外と知られてないようです。

GSR用のノーマルクロスに加えて、RSのみのオプションになりますが、Low-クロスとHigh-クロスの3種があります。Low-クロスはジムカーナ専用になりますので、中古市場で出回ってるCT9Aでこれを搭載したタマは殆ど無いと思われます。

もし、CT9AのGSRに乗ってる人で、ミッションを新品に載せ替える、なんて機会があれば、RS用のHigh-クロスがおすすめです。

ちなみにCT9Aの5速ミッションは非常にタフで、とあるチューナーによれば500psオーバーでも余裕で耐えられるそうです。

耐久性も高く、私のエボⅦのHigh-クロスは14万キロを超えてもOH無しで一切問題ありません。

*20万キロ超えましたが、まだ平気です。

ミッションオイルにどの製品を使うかで、トランスミッションの寿命と入りやすさが決まります。

フロントに機械式LSDを入れてればなおさらです。

イチオシはエンジン用と同じく、NUTEC(ニューテック)です。ただしNCシリーズではなく、廉価版のインターセプターシリーズの85W-90がおすすめです。

NUTECによれば、こちらの方がギアやシンクロの保護や、ヌルっとしたなめらかなギアの入りに向いてるそうです。

エボⅦの一部(前期型)には2速に引っ掛かりを感じるものがあるのですが、このオイルに換えてからは、スルスル入ります。

ディファレンシャルギア

4WDですので、フロント、センター、リアにそれぞれデフが入ってます。

GSRのノーマルでしたら、フロントからヘリカルデフ、ACD、AYCですね。フロント以外は電子制御系デフです。街乗りオンリーでしたら、ノーマルの組み合わせがベストです。

走りを重視するのであれば、まずはフロントデフを機械式LSDに交換です。

低イニシャルトルクでロックまでの過程がスムーズな物を選んだ方が、ハンドリングへの悪影響が少なくていいです。

センターのACDは、CT9Aの最大の武器だと個人的には思ってます。

ACDの制御は、専用のコントールユニット(コンピュータ)で行われていますが、これを社外品に交換するのはマスト!です。走りが激変します。

絶対にノーマルには戻れません。エンジンのECUはノーマルでもいいですから、こっちを先に替えて欲しいです。私が使ってるのはCyberEvo社の製品ですが、CT9A用はもう売ってないみたいですね・・

メンテナンスはミッションと同じく、定期的なオイル交換とたまにACDフルードの交換です。トランスファー部のオイル交換ですが、CT9Aはなぜか容量が少なくなっていて0.5リッターしか入りません。

しかもケース内の構造上、満タンになる前から溢れやすいため、オイルディスペンサーなどを使ってじっくりゆっくり入れる必要があります。

ACDのポンプの故障がおきるとどうなるか?

インジケーターの3つのモードのランプが全部点灯してる時は、故障を知らせるサインなので分かりやすいのですが、何もサインがない場合もあります。

その時はセンターデフはオープンになるだけなので、故障に気づかない時もあります。

ディーラーにある診断機(MUT-2)でACDポンプの強制駆動を掛けてみて、ポンプが動かないので故障に気づいた、というケースはよくあるようです。

ポンプが止まってオープンデフの状態になってしまってるので、「いつもよりコーナーでのアタマの入りがよくなった、もしくは悪くなった」とか、「立ち上がりでの加速感が違う」とか、ブレーキングの時にフラつくような挙動が出る、などの違和感があったら、診断機でチェックしてもらってください。

ACDポンプは、メーカーからはアッシーでしか出ませんので、部品代だけで30万円ぐらいします。交換工賃に6,7万円は掛かりますから、とても痛い出費になります。

*実はACDポンプは修理・OHが可能です。修理の記事はコチラ

リアデフは、GSRならAYC、RSなら機械式1.5WAYLSDです。

GSR乗りの人で、機械式LSDにスワップを希望するケースは多いようです。この作業は費用が高いのが難点で、必要なRS用の純正パーツを中古で揃えても、50~60万円ぐらいは掛かってしまいます。

AYCのハウジングを生かしたまま、小型のLSDに入れ替えて機械式化する方法もあります。

費用が半額ぐらいで出来るのが利点ですが、デフ本体の容量が足りませんのでおすすめできません。

スポーツ走行がしたいから機械式LSDにスワップするのに、スポーツ走行したらブローする可能性のあるサイズのデフを入れても意味ありません。

AYCのままで走るか、高価でもRSのユニットに一式交換のどちらかになります。

その他の駆動系パーツ

4WDですので、ドライブシャフトも4本、それに前後を繋ぐプロペラシャフトがあります。

ドライブシャフトは、まず交換が必要になるのはブーツです。

車体側とホイール側で、シャフト1本につき2箇所のブーツがあります。

フロントのドライブシャフトのブーツは、まず10万キロは保ちません。

ブーツに亀裂が入ったまま走行してると、中のグリスが落ちたり、砂利などが混入して、ジョイントがダメージを受け、シャフト交換になります。

ブーツ交換は、ホイール側は安いのですが、車体側は工賃が高くなります。シャフト1本分で2万円は見といてください。

プロペラシャフトですが、リアデフケースに刺さる箇所のオイルシールが、最初にメンテが必要になるところです。幸い、ここのシール交換はそれほど高くありません。

その他には、頻度は低いですがシャフトのジョイント部にガタが出る事もあります。

その場合はプロペラシャフト交換になりますので、部品代だけでも13万円以上は掛かります。

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