MAP(マップ)センサー(圧力センサー)

前回のスロットルポジションセンサー交換でも収まらなかった、謎のストール現象。

最初に症状が出てから、すでに5ヶ月が経ってます。

その間に点火系から始まって、いろんなメンテナンスを行ってきました。

今回のトラブルもそうでしたが、一つの原因で一つの症状が出る時も、もちろんあります。

でも、複数の原因でいくつかの症状が同時に重なって出ることがよくあります。

トラブルがこういった出方をすると、トラブルシューティングはけっこう大変です。

トラブルシューティングの第一歩は「症状が出る条件」を特定することですが、原因が複数で症状も微妙に重なって出てくると、特定がものすごく困難です。

そういった場合は、症状に関連すると思われるパーツを順に交換していくといった、トラブルの原因の可能性を一つづつ潰していくしかありません。

今回のトラブルも3つの原因が重なっていましたので、私自身の忘備録として順に整理してみたいと思います。

かなり長文リポートです。

トラブル発生とその対処の時系列

まず結果から言うと、今回のトラブルは、「イグニッションコイル故障」と、「スロットルポジションセンサーのへたり」、そして「MAPセンサー故障」の3つが同時に出て起こったものでした。

*後述しますが、直接の原因は違いました。

その為に、原因の特定に時間が掛かってしまいました。

症状が再現する条件がなかなか特定できなかったのです。症状がまったく出ず、何週間も問題なく走れたりしてたのも解決が遅れた理由でした。

ようやくすべて解決しましたが、今になって思い返してみると、あの時の症状はコレ、そしてあの時の異常はこれが原因だったのかと、納得出来ます。

ここでは症状を時系列で並べて、当時は分からなかった原因を補足してみました。

最初の兆候

職場へ出勤中の時に渋滞の中を30km/hぐらいで走行中、アクセルは一定にもかかわらず、

ガクッとエンジンストール。エンストはしなかったが、アクセルペダルの踏み直しに反応せず。しかしすぐに復帰。その後は何事もなく走行可。

その時の印象は、失火症状です。

イグニッションコイル、プラグ、プラグコードを疑いましたが、コイルは交換からまだ4万km、プラグは毎年交換してますし、プラグコードは前回の交換から4年を過ぎてましたが、ちょっと?な感じでした。

行った対策と結果

その後は再発はしてませんでしたが、とりあえず一番年数の経っていたプラグコードを新品に交換。

トラブル再発

プラグコード交換から2週間ほど経ったころ、失火のようなストールが再発。

ストール症状には2パターンあり、前回と同じく低速、低回転(800rpm~1500rpm)でアクセル一定走行時でのストールと、一度抜いたアクセルをパッと踏み直す際に出るストール。

この踏み直しの時のストールは、加速態勢に入った時に出るため、「ドンッ!」という車体への衝撃が大きく、かなり心臓に悪い。

2000rpm以上で巡航してる時や、踏み直す時にタメながらジワっと踏んでやれば症状は出ない。

そのためにアクセルワークでごまかしながら通勤していました。

まるで昔のキャブ車に乗るような感覚です。

行った対策と結果

この時はディーラーに持ち込みましたが、ディーラーでは症状が再現せず原因不明となりました。よって何も改善せずです。

それと症状が出る前に、前兆がある事に気づきました。

それはエンジンの回転が全体的に重くなるというか、うっすらとパワーダウンしてるような、人間で言えば風邪をひいたようなダルい感じになるのです。

そしてアイドリングに細かいハンチングが出ます。

エンジンチェックランプ点灯

それから数日後、出勤途中で例のストールが発生。

ところが今回はすぐに収まらず、ガクガクガクッと激しくガタつきながら、初めてエンジンが停止してしまいました。そしてE/Gチェックランプが点灯。

ランプが点灯したので、ECUにエラーコードのログが残るのを期待しました。

MUT-2で診断にかければ、悩まされてきたトラブルの原因がつかめるでしょうし。

停止したエンジンですが、数十秒後に再始動するとあっさりスタートし、普通に回っています。

まるで何もなかったかのようです。結局、後日にディーラーに行くまではそのまま乗り続けました。

ディーラーでの診断と対策と結果

ディーラーでMUT-2で診断すると、イグニッションコイルの異常とのこと。

まだ交換後4万kmちょいなのに?と思いながらも交換します。*コイルの交換記事はこちら

イグニッションコイルを交換して試走してみます。

風邪をひいていたエンジンの回り方が、かなりかるくなってます。コイルがヘタって火花が弱くなっていたのでしょうか?

そしてそのまま一ヶ月ほど乗りましたが、例の症状はまったく出ません。

ストールはもちろん、前兆になるアイドリング時のハンチングも出ません。

「直ったか?」と嬉しかったのですが、なんか釈然としません。点火系だけが原因とは思えなかったからです。

再発2

コイル交換から約1ヶ月後、職場のすぐ近くの信号待ちで、アイドリングに例のハンチングが出ました。

「あ!」と思い、スタート時にラフにアクセルを踏み直してみます。

「ドンッ」・・・ストール症状、めでたく再発です。

やはりイグニッションコイルは、ストール症状の真犯人ではなかったのです。

行った対策と結果

ストール症状がアイドリングとその付近の低回転で集中して起きること、アクセルの踏み直し時に(サージタンク内のエア流量が急激に変わる時)にも起きることから、スロットルまわりのセンサー類がいちばんあやしいと思ったのですが、まずその前にスロットルとISCバルブのクリーニングをやってみました。 *スロットルとISCバルブのクリーニング記事はこちら

結果から言えば、トラブルの解決にはなりませんでした。

症状はまだ出ます。しかし、アイドリングからアクセルを開けて行く部分のフィーリングは、かなり良くなりました。

やはり溜まってたカーボンが、結構ワルさをしていたようです。

じっさい、クリーニング後にECUのリセットを掛けた後の走行フィーリングは、見違えるほど良くなりました。

エンジンがヒュンヒュン回ってます。

しばらくは絶好調だったのですが、1週間ぐらい経ったころ、信号待ちで例のハンチング出現。

次の対策は、吸気にかかわるセンサー系です。

スロットルポジションセンサー交換

アイドリングと、そこからスロットルを開けていく過程での制御に問題があるのなら、スロットルポジションセンサーとマップセンサーが疑わしいと思い初めていました。

点火系のリフレッシュとスロットル周りのクリーニングで、同時に起きていた他の不調が解消されていたので、本来の問題部分がかなり鮮明になってきたからです。

ストールが起きる原因としては、失火ではなく燃調がおかしいのではないか?

燃料を吹いたり絞ったりを、不必要に何度も繰り返してるのではないか?と感じられたのです。

それであればアイドリング時のハンチングの説明がつきます。

スロットル(バタフライ)の開度を測定して、ECUに情報を送るセンサーが狂っていれば、ECUは狂った情報に従ってインジェクターに指令を送りますので、燃料を吹くべき時に絞ってしまったり、その逆もあり得るでしょう。

早速交換しました。 *スロットルポジションセンサーの交換記事はこちら

その結果

残念ながら症状は完治しませんでしたが、このセンサーがヘタっていたのは間違いないです。

まず、エンジンが風邪をひいたような気怠くて、重い回り方は完全に解消しました。

アクセルの踏み方に気をつけて、症状を出さないように工夫して乗れば、ものすごく元気にエンジンが回ります。

正直言ってここ1年ほどは、うっすらとエンジンのパワーダウンを感じていたのです。

走行距離からいってもしょうがないと思っていたのです。

でも今回いろいろと手を入れたおかげで、本来の調子を取り戻しました。

おそろしくパワフルです。この感覚は忘れかかっていました。

街中で3速全開かけると、一瞬で前の車のテールが迫ってきます。

競技で有名なショップのRSタケダさんのHPにもありますが、センサー類をリフレッシュすると、こんなにエンジンが復活するんですね~

そしてストールが出る条件も、さらにくっきりと鮮明になりました。

スロットルポジションセンサー以外で、あのアイドリング時のハンチングを起こせる真犯人は、もはやマップセンサー以外にあり得ません。

ランエボ

マップセンサー交換

ようやく主題のマップセンサーです。

マップセンサー、MAPセンサー、圧力センサーなど、呼び方はいろいろです。

正しくは、Manifold Air Pressure センサーと言います。

インテークマニホールド、サージタンク内の吸気エアの圧力を測定して、その時の吸入エア量をECUに伝えるセンサーです。

CT9AランエボのMAPセンサー

サージタンクの上、アクセルワイヤーリンケージの左ちょい上に、2本のボルトでとまってるこの黒いパーツがそうです。

2本のボルトで固定されてるだけなので、タワーバーがちょっとジャマですが、取り付け取り外しは簡単です。

配線のカプラーが針金みたいなクリップで止まってますので、クリップを外してから脱着です。

ちなみにインジェクション車では、吸入エアの測定には2種類の方法が採用されています。

まずはエアフロセンサーで測定する、Lジェトロ方式。

日産車やトヨタ車やマツダ車の一部など。三菱では独特なカルマン渦式というエアフロセンサーを採用してます。

もう一つはエアフロセンサーを使わず、インマニ内のエア圧をマップセンサーで測定する、Dジェトロ方式。トヨタ車やホンダ車に多いです。

それぞれ一長一短あるのですが、ランサーエボリューションはエアフロを使ったLジェトロです。

ん?それならなぜマップセンサーが付いてんだ? そう思いますよね?

4G63のマップセンサーについて、ググってもあまり情報がないんですよね。

当時に聞いた話では、CT9A型から取り付けられたようですが、より細かい燃調の制御をするために取り付けられたようです。

おそらく2002年ぐらいから厳格化した、排ガス規制に対応するためではないかと?

基本はエアフロをメインで測定し、低回転時などで補助的に使用されてるらしいです。

低回転時に使用・・・ あやしくないですか?コイツ? ストールを起こしてる真犯人としての状況証拠はバッチリです。追放ですね。

マップセンサーを購入

三菱純正の部品番号は、MD305600です。

ところがですね、この小さなパーツ、ディーラーで22,000円もするんですよ!

ちょっとイヤなので、イグニッションコイルの時のように純正相当品で安いのはないか、ググります。しかし見つかりません。

そこで考えました。

三菱はアメリカのFordと提携してます。

Ford車の多くに、三菱のパーツは大量に使われてます。

日本と違ってアメリカでは、自動車部品はかなり安いのが普通です。DIYでメンテナンスする人が圧倒的に多いですしね。

早速、英語での検索に切り替えます。すると出るわ出るわ、Fordのかなりの車種に同パーツが使用されてるようです。

だいたい、40ドルから70ドルの間での価格のものがいっぱいあります。

1ドル=120円として、たったの4800円ですよ? 送料を入れても、日本円で8000円でお釣りが来ます。

すかさずポチりそうになった時、ちょっと気づきました。

一番下が40ドルくらいなのに、高いものは170ドルもするのです。いくらなんでも価格帯に幅がありすぎます。

いったい何が違うのか?

さらに調べていくと、100ドル以下の安いものは中国製のOEMでした。

三菱純正ではなかったのです。三菱純正品は、アメリカでも140ドル以上します。

しばらく悩みました。今は国産車でも、中国製のパーツは多用されています。だから問題ないじゃないか、と一時は思ったのですが、今回はトラブルシューティングです。

万一不良品だった場合、パーツが悪いのか他に原因があるのか、分からなくなってしまいます。

悩んだ挙句、やはり確実性を取って、三菱純正品を140ドルでオーダーしました。それでもディーラーで買うより、5000円ぐらい安く買えました。

約1週間で届いたのがコレです。

CT9Aランエボの三菱純正MAPセンサー

箱の中にクッションもなく、カラカラと転がる状態で届きました。

おいおい、大丈夫かよ・・

交換作業

作業自体は、普段からオイル交換などのメンテナンスをやってる人だったら、なんの問題もなく出来るでしょう。とくにコツとかもありません。

CT9AランエボのMAPセンサー

この2本のボルトを外して、針金クリップをマイナスドライバーなどで外し、カプラーを抜いて、新品に入れ替えるだけです。

CT9AランエボのMAPセンサーの交換

マップセンサーを抜いたところ。内部の小さな穴がサージタンクに貫通してます。

一応、穴にゴミを落とさないように注意しながら、クリーナーと綿棒でクリーニングしておきました。

CT9AランエボのMAPセンサー

新しいマップセンサーを取り付けます。場所が場所だけに、気密性が求められるせいか、ガスケット(Oリング)がギッチギチでかなりタイトで、押し込むのがちょっと大変でした。

作業後の結果は?

ECUリセットのため、作業前からバッテリーのマイナスターミナルを外していたのを元に戻し、エンジンをスタートさせます。

キュルキュルッ・・「ドウッ」

エンジンがかかった瞬間の音で、トラブルが解消したのを確信しました!

(勘違いでしたが・・・)

というのも、スロポジセンサーを交換してECUリセットした時から、エンジンスタート時にエンジンの掛かり方が「ドウ、ドウッ」って段付きで掛かるようになっていたからです。

そのままECUリセットの手順を済ませます。

その後はトラブルが完全に直ったかどうか確認するため、1時間ぐらい走り回ります。

アイドリングの異常は一切起きませんが、800rpmぐらいだったのが1000rpmぐらいに上がってます。これはヘタったセンサーを交換した時によくある事です。そのうちにECUが学習して元に戻ります。

逆にアイドリングが上がった事で、マップセンサーが異常だった証明になりました。

アクセルの踏み方を、タイミングや開度をいろいろ変えて試してみます。

どんな踏み方をしても、エンジンがキッチリ付いてきます。当たり前ですが。

思わず独り言が出てきました。

「長かった・・・(ケンシロウ風)」

やっと・・やっと、完全復活しました!

それにしても、今回のトラブルは勉強になりました。

比較的トラブルの少ないCT9Aと違って、以前の愛車である、CE9A・エボ2では様々なトラブルを経験してきましたが、別々の原因が複合して出てくるということはあまり無かったのです。

今回は可能性のある箇所を、一つ、また一つと潰して行くことで、やっと正解に辿り着けました。

そして同時に、メンテが必要だった箇所にも手を付けることができ、おかげでトラブル解消だけでなく、エンジンのコンディションもかなり取り戻すことが出来ました。

CP9A・エボ6以降の4G63エンジンは、ノーマルブーストで乗ってる限りは、かなりの高耐久性だと定評がありますが、正直に言って、ここまでとは期待してませんでした。

現在の走行距離は146,050km、購入からすでに15年以上経ってますが、未だOH無し、消耗部品の交換のみ、オイルにNUTEC・NC-41を使用してる以外は、特別なことは何もしていません。

それでこのフケ上がりはたまらないですね。

*ところがなんと!1ヶ月後には症状復活!トラブルシューティングはまだまだ続きます。

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