ブレーキバッドとローター交換

今回はブレーキですよ。

「今回は」って、定期的に更新してる人のみ言えるセリフ。

「す、すみません、放置ブログですけど。ちょっとブレーキネタ書いてもいいですか? ひええぇ ごめんなさい! 悪気は無いんです~」

って言わなきゃね。私の場合。

さて、私が普段使いしてるパッドはコレなんですが。

ランサーエボリューション

Dixcel Z Type (ディクセル・Zタイプ)

街乗りからサーキットまでのオールラウンダー系。

いわゆる″グラファイトメタリック″ってタイプのパッド。

このパッドを使いだしたキッカケなんですけど。

エボ2に乗ってたころの私、メタル系パッドが大嫌いだったんですよ。

だってロクな製品なかったじゃないですか?

サーキットではいいけど、街乗りで使えるシロモノじゃなかった。

PFCの製品は例外で良かったですけど、かなり高額でしたし。

それで愛用してたのが SEI(当時は住友、今はアドヴィックス)のCSってパッド。

ノンアスなんですが、超高温域まで耐えるヤツ。

初期制動が控えめで、踏んだぶんだけリニアに効く特性。

当時の走行会、参加車両の上位車への装着率が高かった製品。

とても気に入ってたんですが、ひとつ欠点がありまして。

それは寿命が短い。

毎日の通勤と週末のお山遊びで、7000kmぐらいでペラッペラに無くなっちゃう。

つまり10ヶ月ぐらいしかもたないんですよ。

まあ、ノンアスなんで仕方ないんですけど。

そこで他社製品も試してみたくなるじゃないですか。

ちょうど今のCT型エボ7に乗り換えたのを機会に入れてみたのが、当時新製品で雑誌でガンガン宣伝してたヤツ。

あけ○のブレーキのアク○ってパッド。

なんか走行会参加者の意見をフィードバックして、サンデーレーサー達と二人三脚で開発したとかなんとか。

それで期待して入れてみたら、これがトンデモナイ製品。

ピストン側への遮熱を重視しすぎてたのか、ローターがハンパじゃなく加熱。

ディクセルのHTローターが火の玉状態。ついには交換直後なのにクラックまで入る始末。

最初はローター側の製品不良だと思って、ディクセルに割れたローター送ってクレーム入れたんですよ。

そしたらパッドも送ってくれ、という依頼。

1週間ぐらいしたらメールで返答がありまして。

パッドの摩材が異常に発熱しやすいコンパウンドになっていて、それによるペーパーロックを防ぐためにバックプレートに遮熱性の高すぎる材質を使ってあるので、熱がすべてローターに向かうような設計になってたそう。

鋳鉄ローターでコレに耐えられる製品は他社でも無いんじゃないか?という返答。

ちなみに、パッドとローターを送ってる間に走れないんじゃお困りでしょうからと、代替えでディクセルのローターと出たばかりの新製品のパッドが先送りされてました。

なんて良心的で気の利く会社だろうと思ってましたが。

じつはディクセルさん、商売上手なんですよね。

この時に送られてきたのが、このZタイプ。

最初は「ゲッ・・・メタルパッドだよ・・ヤダな。」て思いましたが。

回答をもらう1週間の間に走り込んで、すっかり洗脳されてしまいました。

まず、それまでのメタルパッドにありがちな、初期制動の強すぎ感が無い。

SEIのCSに近い、踏んだ量に比例するリニア感がある。

走り出しの低温域からちゃんと効く。SEIはちょっとだけ温度上げないと効きませんでした。

フルブレーキングでの制動力はSEIよりも全然上。

さらに後で分かった事ですが、寿命もおそろしく長い。

とにかく私が持ってた、メタルへのネガなイメージがまったくない。

それらの意見をディクセルに伝えると、

「ありがとうございます。よろしければパッドとローターは差し上げますので、そのままお使いください。なんでしたら、リア用のZタイプもお送りします。」

との申し出。悪魔ですよ、ディクセル。

それから15年。

私はすっかり悪魔の下僕。

まあパッドはとにかく長持ちします。2万キロちょいぐらいはかるくイケます。

ローターにカーボン皮膜を作るのが理由らしいんですが。

まあね、ホントにハードな走りをした際、ちょっとだけ「うん?」って感じたことも無いワケではないですが。

少しだけ信仰心がゆらぐ瞬間も、過去に無かったワケではありませんが。

でも、街乗りとスポーツ走行の両立で考えれば、これ以上を望むのも難しいかも?

このパッド、ふだんは鳴きもあまりありませんけど。

パッドの残量が半分を切ってくると、だんだん鳴き始めます。

この鳴きが、交換時期の目安になります。

前置きがダラダラと長くなりましたが。

さあ、久しぶりに交換しますか。

ランエボ

ランエボ・ブレンボのパッドとローターの交換前の準備

エンジン系の不調が続いてたせいで、山遊びがご無沙汰だったおかげなのか。

これまで2年ちょいで交換時期を迎えてたパッド、今回は4年近く保ってました。

攻めないで街乗り中心だと、こんなに長持ちするんですね~。

4年ぶりに購入したZタイプ。

dixcel z type

ランサーエボリューションにZタイプ

なんか以前は無かった、ヘンなのがくっついてますが?

鳴き止めシムですか。

何年か前にディクセルの広報の人に聞いたんですけど。

鳴きのクレームがスゴイんですって。

だったら、Zタイプなんか買わないでストリートパッド買ってろよな、って思いますけどね。

世の中変な人が多いんですよ。

今は変な人達の、おかしなクレームが通ってしまう時代。

エボ7の純正ECUのロムデータも、せっかく純正で攻めたデータだったのが、ヘボ乗り達のせいでマイルドデータに仕様変更された事もあります。

まあブツブツ愚痴りながら、下準備。

まずは新品パッドのショルダー面取り。

ランサーエボリューションのブレーキパッド交換

この部分をヤスリでナナメに削り落とす。

純正ブレンボパッドみたいに、ごっそり落とす必要ないです。

ありゃやりすぎ。パッド面積の1/3ぐらい無くなってますからね。

ちょっとで、いいんですよ。ローターとの初期馴染みを良くするためだけなんですから。

次はローターの脱脂。

じつは今回はコレが苦労した。

ちなみに私、パッドとローターは必ず同時交換します。

グラファイトの皮膜を作るには、ローター面がまっさらの必要があるから。

いぜんはサボってパッドだけ替えた事もあるんですが。

ヒドいジャダーが出て、とても乗ってられなかった。

1500km走ってもジャダーが収まらなくて、新品ローターに交換せざるを得ませんでした。

それからは必ず同時交換してます。

いつもはローターもディクセルを使うんですけど。

今回、富士制動機の製品を試してみます。

最近、ネットでここのスリットローターが人気らしいんですよ。

価格もディクセルのPDより安い。

でも私はスリットローターは嫌い。

なんとかプレーンローターを探して購入。

富士制動機って会社、国産メーカーのOEMだけじゃなく、有名アフターパーツメーカーのOEMもやってる。

H○Sとかトラ○トとか。

品質は十分高いはず。

でこれ。

ブレーキローターをランサーエボリューション

新品ローターにはサビ防止でオイルが塗りまくってあるのが普通。

これを取り付け前に脱脂しなきゃならないんですが。

この製品に塗ってあるオイル、異様に粘性の高いガムみたいなグリスで、もうマイりましたよ。

サンドペーパーでこすって、中性洗剤で洗って、ブレーキクリーナー吹きまくっても、まだなんか落ちきってないカンジ。

まあなんとか頑張って落とします。

ここからは取り付け作業。

ランエボ

パッドとローターの交換

まずはジャッキアップ、ホイールを外す。

手順は、

1)パッドの撤去

2)ブレンボキャリパー取り外し

3)ローター入れ替え

4)キャリパー取り付け

5)新パッド取り付け

特に技術的にむづかしいトコはありません。

中腰での作業なので、腰と太ももの内側の筋肉がヤラれるだけ。

まずは古パッドの撤去から。

用意するのはこの工具。

ランエボ

アイスピックのシャフトをカットして自作したSST。

なぜ短くするかというと、パッドピンを抜く時は別にいいんですが、戻す時にタイヤハウス内側からピンの頭をこれで叩くから。

その際、長すぎると工具が入らないからです。

まあ短いマイナスドライバーとかでもイケますけど。

ブレンボは、2本のパッドピンでとまってるので、これとプラハンで叩いてピンを外す。

ディクセル

パッドとピンを押さえてる十字型のプレートストッパーのせいで、1本めのピンはちょっと固いかも?

ちょっと叩いて、5mmほど裏側にピンが抜ければ、あとは左手でストッパーを押し下げながら右手でプライヤーでピンのあたまを裏側から引き抜いてやればスンナリできるはず。

ランサーエボリューション

はずしたピン2本とストッパー、キレイに洗っておきましょう。

パッド交換

次はパッドを上から引っこ抜くんですが。

マイナスドライバーをピンが通ってたパッド側の穴に突っ込んでグリグリやってれば、そのうちパッドがグラグラしてきて、なんとか引っこ抜けます。

次はキャリパー外し。

ブレンボキャリパー、2本のボルトでブラケットにとまってます。

リアが17mm、フロントが19mmです。

ここと。

ランサーエボリューション

それとここ。

ランサーエボリューション

ここはとうぜん高トルクで締まってますので、ラチェットに鉄パイプ延長とかでやる必要が。

そしてこのキャリパーの脱着作業が、筋肉痛の一番の原因。

あと注意点。

キャリパーを外すといっても、ブレーキホースまで外すわけじゃありません。

外したキャリパーを落としてブレーキラインにダメージ与えないように、タイラップか針金で吊って置く必要があります。

ローター交換

私は車高調のスプリングに針金通して吊ってます。

ローターはこの時点でフリーなので、手前に取り外せるんですが。

まれに固着してることもあります。

そんな時は、ローターにあるこのネジ穴が活躍です。

ブレンボローター交換

クルマいじりしてれば、ツールボックスの中に転がる事が一番多いサイズのボルトがぴったり。

これをラチェットで締めてやれば、かんたんにローター固着は取れます。

ローターを取り去ったあと。

サイドブレーキ用のドラム式ユニットが丸見え。

サイドブレーキ

このサイドブレーキには、遊びを調整するノッチがあります。

ローターにサービスホールがあるので、サービスホールがノッチの位置にくるようにローターを取り付け。

そしてサービスホールを隠すゴムのメクラブタ、忘れずに旧ローターから移植。

ブレンボローター

新品ローターを入れたら、キャリパーを戻します。

キャリパーとブラケットのボルト、死ぬ気で締めてください。

この作業でミスがあるとすれば、ここの締め付けトルク不足か、キャリパー落としてブレーキラインの破損かです。

ここまで来たら、あとは新品パッド入れて終了。

と、その前に。

キャリパーのピストンを戻さなきゃ。

パッドが減ってた分、ピストンが飛び出てるんで、そのままでは新品パッドが入りません。

ここは専用工具がだんぜん使いやすい。

ウォーターポンププライヤーなんかで代用すると、最悪ピストンのエッジに傷が入ってしまいます。

ランサーエボリューションのブレンボ

こんな感じで使います。

ブレーキパッド交換

よくいろんなサイトで、書かれてんですが。

この作業をやる前に、マスターシリンダーからブレーキフルード抜いとけってやつ。

でないと戻ったピストンのせいでフルードが溢れちゃうぞって。

それはパッド交換の前に、エア抜きとかでフルードを足した場合。

足して無ければ、あらかじめ抜いとく必要ないです。

これで新品パッドの挿入準備完了。

ブレーキ用のシリコングリスを塗って装着。

使用するグリスはとうぜんコレ。

ランサーエボリューション

何社かの製品試しましたけど。

やっぱりコレがいちばんですよ。

ケミカル類はワコーズが優れてる。

塗る場所は、

1)ピストンが当たるトコ

2)ピンが当たるトコ

3)パッドの両サイド

あとは後からつけるストッパーの、パッドとピンが当たる部分。

グリス塗布中はカメラ持てないので画像なし。

なんか最近、ブレーキグリスは必要ないって主張する人が増えてるそうですが。

私もグリス無しで装着して試した事ありますが。

お話にならないくらいの鳴きまくり。

要らないって言ってる人たち、何考えてんでしょうね?

はい、完成。

ディクセルのZタイプ

この調子でフロントも。

ランサーエボリューション

ランエボ

毎度のことながら、この作業は腰にキますね。

しばらくはウンザリしてやりたくない。

車屋さん、こんな事を毎日しかも何台もやってるんですよね。

私が車屋さんに勤めたら、1週間以内に脱落する自信あり。

あとはエア抜きというか、フルードを全交換。

使うフルードはこれ。

ランサーエボリューション

ATE(アーテ)。

ドイツの製品でしたっけ?

ホントはここのブルーレーシングっていう製品が欲しかったんですが。

2年ぐらい前から、なぜかブルーレーシングは日本に入らなくなりました。

その代りにコレが出回り始めたんで、今回はこれで。

そのへんの有名ブランドの製品なんか比較にならない高性能なのに高寿命。

しかも安い。1リッターで1700円。

以上、ブレンボ付きのランサーエボリューションのブレーキパッドとローター交換でした。

エボ5以降は、手順はすべて同じのハズ。

後日談

交換から3000kmほど走りました。

アタリはちゃんと付いたんですが。

アタリがついたぐらいから、かなりデカイブレーキ鳴きが出始めた。

車体が停止する寸前のキョワワワワーってやつ。

Zタイプを愛用して15年、こんなに鳴きがひどいのは初めてですよ。

実は今回は、今までとは違う組み方を試したんですよね。

今まではパッドを組む際、純正で付いてるシムの金属板シムだけ使用してたんです。

こんなやつ

ランエボのブレンボのブレーキのシム

パッドに張り付いてるタイプは使ってなかった。

そして今回。

購入したZタイプにディクセルのシムがくっついてきてたんで、ちょっと試してみようかと、そっちを生かして金属板のシムは入れなかったんです。

あとは使用したローターも初めて使うメーカーなので、こっちが原因の可能性もありますが。

検証するには、パッドを抜いて金属シムに入れ替える必要がありますね。

面倒なんでたぶんやらないと思いますが。

ようやく作業しました。シムを入れ替えた結果はこちら

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