今回のハナシは、ブースト異常、ブーストが掛からない、っていうか、上がらないって内容。
立ち上がりも悪いんですが、掛かり方自体がちょっとヘン。
実はちょっと以前から、この異常は始まってたんですが。
症状その1
例えば2速で、2500rpmぐらいからアクセルオン(ベタ踏み)。
今までなら、アクセルオンと同時にブーストが立ち上がり、このくらいの季節(11月末)なら、1.20~1.25kgf/cm²くらいは掛かってたんですが。3速だとオーバーシュートするくらいまで
*ちなみにブーストコントローラーの設定は、1.30kgf/cm²。
それがなぜか、1.10kgf/cm²ぐらいしか掛からない。3速でも、せいぜい1.20kgf/cm²くらい。
症状その2
立ち上がりが遅い。アクセルオンから、かなり間がある。
じっさいの時間は1秒も無いんでしょうけど、感覚的にはすっごい”間”を感じる。
症状その3
1速と2速でベタ踏みの際、ブーストが立ち上がってからピークになるちょい前に、一瞬ブーストが抜ける時がある。まるでアクセルを瞬間的に戻したかのように。
これらの症状が日によって、出たり出なかったり。
ちなみにエボ7RSの場合、ノーマルのソレノイドバルブでも、ブーストは1.4くらいは掛かります。
気温が低い季節なんかで高負荷時だと、オーバーシュートで1.5を超えることも。
個人的には、ノーマルの燃料系ではちょっと掛かりすぎだと思ってます。
それで私の場合は、純正ソレノイドバルブは撤去し、社外ブーストコントローラーであえて1.30kg/cm²に設定してます。
これを1.40にしても、長い目で見てピストンを痛めるだけで、たいして速さには結びつかないと判断したからです。
4G63によくあるトラブル、ピストンの棚落ちはブースト管理の甘さが原因の一つです。
この頃の三菱とスバルは、互いに意識し合ってた悪影響なのか、メーカーのくせにブースト設定が過激でした。
ランエボもインプレッサも、ブーストアップしてなくても排気、吸気系の交換だけで、すぐにブーストがせり上がる。
そうなると、なんせ元の余裕が無さすぎて、カンタンにピストン棚落ちしたりしてましたっけ。
インプなんか、ピストンに穴空いたりとかね。
ハナシが逸れました。
今までは、ブーストメーターのホールドピーク値が常に1.30を超えてたんですが、このところ設定値に届いてない、1.22とか1.25ぐらいばっかり。
しかも立ち上がりも悪いので、クルマがキビキビ走らなくて遅い。
今年は趣味のバス釣りに何時にも増してハマってたので、ついつい放置してたんですが。
バスもシーズンオフになってきたんで、やっとなんとかする気になりました。
さっそくトラブルシューティングです。
ブースト異常のトラブルシューティング
まず、ブーストの掛かり方がオカシい場合、最初にチェックするのは配管です。
HKS・EVCに代表されるステッピングモーター方式にしろ、Blitz・SBCなどのソレノイドバルブ方式にしろ、タービン前のインテークとタービンアクチュエータの間に配管するワケですが、この辺りの配管をまずはチェック。
もちろん、インタークーラーからスロットルまでの配管も、ホースバンドの緩みや漏れがないかチェック。
サージタンクから圧力を取り出すために、T字ジョイントで分岐させてる部分もチェック。
すべて特に異常ナシ。
まあこれは想定内。
ただ最近は配管チェックをしてなかったので、定期チェックも兼ねてやってみただけ。
私が一番疑ってるのは、ブーストコントローラーのソレノイドバルブユニット。
次点で、コントロールユニット。もしくは、その両方。
その理由ですが、ブースト異常の症状の再現性と、その症状の出方。
たとえば配管の漏れとか、最悪ケースですがタービンのブローとかいった、機械的な原因であれば、一度起きれば常に起きっぱです。
機械には自己治癒能力は無いので。
ところが時々、症状が出ないことがある。
これは電子部品に特有の症状の出方。
そしてコレが、エンジン側に問題がある場合。
その場合、ブーストの掛かり方以外にも様々な症状が出ます。
ところがエンジンの回り方は、いたって普通。
そして症状は、圧の掛かり始めがトロく、そして設定の圧まで掛かり切ってない、というものです。
これは圧のリークがあるか、圧を掛ける側に問題がある可能性大。
最初はアクチュエーターも疑ってみました。
そこでアクチュエーターのロッド、前回のフロントLSD交換の際、作業したショップさんに頼んで、調整範囲内で目一杯締めてもらいました。
けれども結果は、とくに変化なし。
そこで次に手を付けるのは、ブーストコントローラー。
ブーストコントローラーのバルブユニット交換
私が使ってるのは、ツインソレノイドバルブ式のBlitz・SBC i-D。
今は亡き、ブリッツの往年の名機です。
ブーストコントローラーのコントロールユニットと、ディスプレイユニットを別々に分けるスタイルを初めて採用したモデル。
このモデル以降は他のメーカーも、みんなこのスタイルになりました。
ディスプレイと、コントローラーと、バルブユニットの3ピース構造。
現行の機種も、どのメーカーもだいたいこのスタイルです。
これを採用した理由ですが。
当時のエンジン屋さん、みなさんが口を揃えて言ってたのが、「4G63はソレノイドバルブ方式のほうが相性が良い」っていうこと。
主に排気脈動だかなんだかが、その理由らしいのですが。
エンジンの特性によって、ブーストコントロールの仕方に相性があるらしい。
4G63は、ステッピングモーター方式とは相性が悪いとか。
でも私、エボⅡの時は、HKSのEVCを使ってましたけどね。特に問題は感じなかったですけど。
まあ次のエボⅦでは、ソレノイドバルブ方式を試してみたかったんです。あと、SBC i-Dのディスプレイと、自動学習機能は画期的でしたし。
私が買ったのは、最初期物。ツインソレノイドバルブのヤツ。
この初期物は後にSpec-Rという名称に変わり、廉価版でシングルソレノイド仕様のSpec-Sも出るんですが。
2014年にめでたく(?)生産終了。
その後は、SBC Type-R、Type-Sにモデルチェンジ。
Type-Rがツインソレノイドバルブ、Type-Sがシングルソレノイドバルブ。
見た目は今時の、なんか細いヤツ。HKSのEVCもこの見た目にチェンジ、まったく見分けがつきませんでした。
ところがこの記事書いてる時に、数年ぶりにBlitzのサイトを覗いてみたら、どうやらこれらも廃番。
っていうか、今のBlitz。なんとブーストコントローラー自体、生産販売してないようです。
いやあ、なんか時代が変わりましたね!
まさかブーコンを売らなくなる時代が来るとは、思いもしませんでした!
もう時代は欧州車と同じように、ECU自体にエディターかますのが主流なんですよ。
ブーストコントローラーなんて、あと数年で死語になりそう。
思いっきり脱線しました。
ま、そのSBC i-D、以前の記事でも書きましたが、すでにめちゃめちゃ程度の良い中古を買っておいてました。
先にディスプレイが液晶焼けを起こしたんで、ディスプレイだけ交換するために。
このモデルは後期のSpec-Rなんですが、中身はまったく同じです。たぶん
そこで今回は、取っておいたバルブユニットを入れ替え。
なんせすでに配線も配管もされてるユニットの入れ替えなんで、作業はカンタンそのもの。
ただし、入れ替えるバルブユニットの配線、カプラーがなぜか無くなっており、元のハーネスとはまったく合わない形状のコネクター端子のみが付いてる状態。
なんでこんな状態?
仕方ないので、車両室内に設置されたコントロールユニットから来てる、ハーネスのカプラー側共々、配線をむき出しにして互いを直結します。
新たに汎用のカプラーを買ってきて繋いでも良かったんですが、なんかもう面倒になっちゃいましてね。
ハーネス側配線と同色同士を、ハンダで結線。
ハンダ部に負担が掛からないよう、その部分のみ直線にして両側をタイラップで固定。
あとはアクチュエーターとサクションからの配管を繋いで終了。
これで試乗してみる。
これでダメなら、次はコントロールユニットの交換。
さっそく自宅そばの、某団体の所有する広大な敷地の横のキレイな車線道路に向かう。
ここは道路の長さと広さのワリに、交通量がすごく少ない。
メンテ後の調子を診るための、個人的なテストコースです。
もうね、1速から踏んだだけで、ブーストのツキが戻ってるのが分かる。
2速、3速、と踏んでいっても、これまであった”間”が消えてる。
やっぱ4G63はこうでなくては。
踏んだ瞬間に、タービンがシャッと立ち上がって、フルブーストまで一気っていう。
メーターに表示される値も異常なし。
3速で平坦路で1.28kgf/cm²ですから。
予想通り、ソレノイドバルブが不調だったようです。
ステッピングモーターに比べて、長寿命がウリのソレノイドバルブですが。
さすがに20年20万キロも使えば、そりゃダメになっても不思議じゃない。
しかしブーストコントローラーが不調なら、普通は現行品を入れますよね。
10年も前に廃番になってる製品の中古品で直そうなんて、普通の人はしないです。
なんか私のエボ、だんだんゾンビ化していくようで、ちょっとステキ。