前回のLSDのオーバーホール、そのついでと言ってはなんですが。
じつは何年も前から、ずっと抱えてた問題。
*リアLSDのOH記事は→こちら
それは、プロペラシャフトとリアデフの接合部、ここのオイルシールからのオイル漏れ。
漏れというよりは、滲み。
ここのオイルシール。
何回交換しても、この滲みが止まらない。

ごく微量の滲みなのと、コレ以上は悪化する気配がないので、半ば諦めて放置してたんですが。
今年になって、別件で作業をお願いしたショップさんのメカニックから、「あくまでも推測ですが・・」とヒントをもらったんですよ。
私が過去に、プロペラシャフトの劣化したブッシュベアリング(センターベアリング)を放置してたせいで、ペラシャをブレまくらせて走ってた、ってハナシをした。
そしてそのせいで、リアデフのピニオンドライブまで交換するハメになった、と言ったら。
*センターベアリングの交換記事は→こちら
*ピニオンドライブの交換記事は→こちら
メカ「ひょっとしたら、その時にデフフランジもわずかに変形してしまったかも?そしてそのせいで、ペラシャが回転するたびにオイルシールが押されてるのかも?」
って、考えをもらった。
これ、私的にはちょっと腑に落ちた。
とにかくオイルの漏れが、ひじょうに微量なんですよね。
そして漏れが悪化する気配が無い。
普通はオイルシールから漏れが始まったら、時間経過と共に徐々に悪化するはずなんです。
つまり、フランジの変形部分が回ってきた時だけ、シールがわずかに押されるか変形して、オイルが滲み出してるってコト?
そこで、このフランジをいつか交換しようとは思ってました。
今回のLSDのOHで、デフを降ろせる。
これでやっと、フランジの交換ができます。
ところがどっこい。
この案件、ここまで書いておきながら、まったく予想外の展開を見せました。
そしてディーラーやショップ、いわゆる「プロ」の世界の闇が、垣間見えます。
デフフランジの入手と交換
リアデフのフランジとは、この部分。

パーツでの展開図だと

純正部品番号は、MR263340
製廃ではなく、普通に買えます。
・・・・そのはずでした。
モノタロウ(出品ショップはスズキモータース)でも、「3日以内に発送」の表示。
いつでも買える、と油断してました。値段も1万円くらいだし。
ところが。
いざ買おう、と発注すると、メーカー、サプライヤー共に、在庫が無い、との連絡。
入荷は来年以降で、正確な入荷日は未定、とのこと。
これって、生産待ちのバックオーダーってこと?
え?LSDのオーバーホールで入庫すんの、来週なんですけど?
あわてて、いろんなショップにメールしまくる。
どこも在庫無し。
まあ、在庫持つほどの、交換頻度の高い部品じゃないですからね~
っていうか、普通はあんまり交換しない部品。
こうなったら、最後の望みは海外のショップ。
なんせ海外のショップ、人気車の純正部品は、製廃が始まる前に大量に買い込んでますからね。
あんまり需要の無さそうな部品まで、しっかり在庫を抱えてたりする。
サイト上で、「即発送」や「在庫あり」のような、在庫もってそうな表示してるショップが、UKで1件、スイスで1件、見つかった。
そこで、6日以内に日本に必着できるか、両方にメール。
両方とも即答してくれましたが。
6日以内の納品に間に合わせるため、DHLを使った具体的な発送方法と価格を提案してくれた、スイスのショップに発注。
ここ
EU圏でのクチコミの評価は高い。
メールの英文も、ビジネスタイプの信用度ある文章、不安を払拭してくれる。
唯一の問題は価格。
モノタロウで日本で買えば、1万円。
ここで買うと、商品代だけで、153.20 SFr(スイスフラン)。
1スイスフラン=195円くらい。
商品代で、29、874円。すでに3倍近い。
これに、DHLの特急便価格。
さらにご丁寧に、成田の税関で関税まで5000円ほど取られた。
トータルで、日本円で43,000円ほど。
急いだばっかりに、3万円以上も余分に払うハメになり、もはや涙も出ない・・・
DHL(佐川急便が代行)で送られてきた、4万円の高級デフフランジ。
部品番号はMR263340。


日本で買うより4倍も高価だった、涙のデフフランジ。
こころなしか、銀の輝きが一味違うような・・・
3万円分ほど、余分に輝いてるような・・・
こいつも一緒に、ショップに預けます。
この部品をお店に預ける際、店長さんが訝しげな表情を浮かべながら、「フランジの歪み?そんなコトあるかなあ?」と、しきりに首を振ってたのが印象に残ってます。
店長さん的には、ちょっと納得いかない推測だったようです。
そしてまさかコレが、その後の展開を示唆するフラグだとは・・・
オイル漏れの真相
リアデフのLSDの作業が終わって、クルマを引き取りに向かいました。
今回はお店にごムリをお願いして、作業の一部を画像に残しておいてもらいました。
その画像を受け取る際、店長さんが口頭で説明も加えてもらいます。
そこで驚愕の事実が・・・
まずは画像が、例のオイル漏れのあるオイルシール。
正式名称は、ドライブピニオンオイルシール。

このドーナツみたいな、茶色のリング状のヤツ。
外して単体にすると、こんなカンジ。

このオイルシール、金属製のカラーでゴムが挾まれた構造。
真ん中のゴムがクニャッとなってるのは、外す際にねじるから。
つまりこのオイルシールは、外す際に壊す必要があります。
再使用は不可。
たしかサイドのオイルシールも同じだったはず。
デフキャリア下ろしたら、必ず交換。
そして黄色マルの部分。
ヘンなキズというか、押された跡が入ってます。
そしてこの画像が、このオイルシールが入ってたデフキャリア側の部分。

なに?このキズ?
店長さんいわく、推測になるけど、おそらく以前にこのシールを外す際、固着してたので工具でコジったというか、複数回叩き込んだ跡じゃないか?とのこと。
そしてこのキズの外側が盛り上がっていて、それがオイルシールを押すカタチになってたと。
おそらくオイル漏れの原因はココだろう、という見解です。
今回、キズを修正して対処してあるので、オイル漏れはもう起きないハズ。
正直、このキズの件はけっこうサプライズでした。
それと同時にちょっとだけ、「ああやっぱりか・・・」というキモチもありました。
というのも、このキズを付けたショップは、私の中では確定してるからです。
とっても信頼してたショップさんだったんですけどね。
でも後に、ここで作業した箇所を自分でやったりすると、なんか荒い作業跡が見つかったりしてたんですよね。
それも複数箇所。
動かした部品の配線やホース類の処理が雑で、あとでトラブりそうな状態になってるとかね。
まあ、このショップはすでに閉店してるので、もう行くことはありませんが。
自分のクルマのみを、納得するまでいくらでも時間を掛けて作業できるDIYと違って、プロの場合は毎日毎日、多くのクルマを作業します。
そして1台に掛ける時間には、制限があります。
時間を掛ければその分は時間工賃になって、お客の負担になってしまう。
それに仕事も回らなくなりますからね。
ですので、細かい部分なんかは、ある程度はやっつけになってしまうのは仕方ないです。
ただ、他の部分を破損させたり、後にトラブルになるような瑕疵を残す作業はダメです。
ところが、こういう問題のある作業するショップ、あんがいと多いんですよね。
お客が購入、載せ替えで持ち込んだ東名の150万くらいのコンプリートエンジンを、雑な作業で台無しにしたショップ。
お客の預かり車を、他の客車にこすりながら止めてるショップ。
トラブルシューティングの過程で配線を適当にカット、ウィンカー点かないまま納車するショップ。
ブレーキフルード交換後、キャリパーのブリーダーバルブのネジをナメて、フルード漏れ起こしたまま納車するショップ。
挙げていけばキリがないんですが。
私自身、昔は作業はぜんぶ、ショップに任せてたんですよ。
でも、ディーラーはあまり深い技術や知識は無いし。
チューニングショップは、上記のような客をナメてるとしか思えないコトするし。
しかたなく、ある程度は自分でやるようになってしまった。
もう何十年も、クルマ遊びをやってますが。
いいショップさん探しは、あいかわらず終わりなき旅ですね。
今回のデフのOHやってもらったショップさんとか、良さそうなトコは自宅からは遠いし。
