まるで点火系の問題で失火してるかのような、息つき症状が出て絶不調の14万kmオーバーのCT9A・ランエボ7。
プラグ、イグニッションコイル、コイルケーブル、はてはECUと、点火に関係ありそうなところはすべて交換しました。
ひょっとしたら吸気系にも問題があって、きちんと吸入空気量が測定できてない可能性もあるかも?
そう言えば、スロットル周りは一度もメンテしたことが無かった事を思い出し、スロットルやISCバルブなどの今の状態を見てみようと思い立ちました。
どうせ掃除の必要があるでしょうし。
ISCバルブ
ISCバルブ、ISCサーボ、ISCソレノイドバルブ・・
呼び方はそれぞれです。ISCソレノイドバルブが正しいと思いますが、ここからは単にISCと略します。
ご存知でしょうが、インジェクション車の場合、アイドリング中はスロットルが閉じてるため、エンジンをアイドリングさせるために最低限の空気の流通を確保しなければなりません。
そのためにスロットルボディにバイパスを設けて、スロットルバルブが閉じてる時はバイパスを開放、スロットルバルブが開き始めたらバイパスを閉じる、といった制御が必要になります。
この制御をISCが行ってます。
センサーで得られた情報から、ECU(エンジン制御コンピュータ)が必要なバイパスの開放率をISCに送り、ISCのソレノイドバルブが前後に動いて、バイパスの空気流入量を調節してます。
このISCが不調になると、アイドリングが激しくバラついたり、ストールしてしまったりします。アイドリングでかなり大きくハンチングが出ますので、まともに乗れなくなります。
私のエボは、ISC異常と言えるような症状は出てませんでしたが、失火したようなストール症状が出るのは、アイドリングから1200rpmぐらいの低回転に集中していました。
そこでISCの初期異常を疑ってみたのです。
アクセルを踏んでスロットルが開き始めると同時に、ISCが徐々にバイパスを閉じていかなきゃならないハズですが、そこの制御がウマくいってないんじゃないかと。
あくまで素人メカニックの推測ですが。
ISCバルブ本体の故障より、堆積したカーボンが不調の原因
初期型のエボ、CD、CE9Aのエボ1~3の場合、このISC自体が弱点のひとつでした。
こわれやすいことで有名。そしてこわれると、部品代だけでも2万円ぐらいは取られた記憶があります。
こわれる前兆はいっさい無く、私のエボ2の時もいきなりこわれて、アイドリングできなくなりました。
エボ4以降のISCはかなり品質改良が進んだのか、あまりこわれやすいという話を聞きません。
むしろISCの動作が不調の場合は、ISC本体が原因ではなく、バイパスとISCの可動部分に堆積したカーボンが原因である場合がほとんどです。
このカーボン堆積が進むと、ISCが100%開放状態になってもバイパスの空気流入量が充分に得られず、ECUはISCが開き切ってないと誤解して、さらに開弁率を上げるようISCに指示を出します。
ここで負荷が掛かりすぎると、ECUのトランジスタが発熱してECU自体がパンクするという、おそろしい結果になります。
そうならないためにも、定期的な掃除は必要です。私はサボってましたが・・・
スロットルとISCソレノイドバルブの掃除(クリーニング)
さて、掃除(クリーニング)の方法ですが、ちゃんとやるなら、スロットルボディを車体から取り外して行なうのがベストです。
スロットルとISCバルブをバラし、市販のスロットルクリーナーなどでたっぷりかけて歯ブラシでゴシゴシやったあと、ブレーキクリーナーなどでしっかり洗浄する。とくにバイパスなどの細い通路に汚れが残らないように気をつけるのがポイントです。
ハンパにクリーニングして、落ちたカーボンスラッジなどが通路を塞がないようにしなければなりません。
一番最悪なのが、スロットルボディを車載のまま、インテーク側からスロットルクリーナーを吹き込んでやるクリーニング方法です。
恐ろしいことに、クリーナーのメーカーなどがこの方法を推奨していたりしますが、絶対にヤメましょう。クリーナーで剥がれたスラッジが、通路に詰まったりする危険が高すぎます。
スロットルを外さないままクリーニングするには?
スロットルボディを外すのは面倒だ・・・ですよね。
スロットルボディには、アクセルワイヤーや冷却水のラインも来てますので、それらの世話も発生してしまいます。
今回は時間もなかったので、スロットルボディを車載のままでクリーニングしました。
スロットルボディを外さないでクリーニングする時のコツは、
スロットルクリーナーなどの強力なケミカルは使わず、普通のブレーキクリーナーと、プラスティック製のISCを痛めないよう、エレクトリッククリーナーやプラスチックセーフのようなパーツクリーナーだけを使用する、ブラシ類は使わず、綿棒やウエスのようなソフトなツールのみ使用する、
といったところです。
パーツクリーナーを染み込ませた綿棒で、ソフトに拭き取るようにクリーニングすれば、細い通路にスラッジが落ちるのを防げます。
パワフルなケミカルで一気に落としたりはできないので、少し手間は掛かります。
しかしそれでもスロットルボディを着脱するよりは短時間で出来ますし、けっこうきれいにクリーニングできます。
赤矢印の2箇所のホースバンドを緩めて、インテークのホースを外します。
ホースをはずせば、スロットルのバタフライとISCバルブに対面できます。
スロットルの下側に付いてる黒いパーツがISCバルブです。
+のネジで3箇所でとまってるだけですが、ここで使用するプラスドライバーのヘッドがピッタリ合うものを使用しないと、高い確率でネジのアタマをナメます。
カプラーを外してネジを3本外せば、ISCはポロっと取り外せます。
ちょっとピンボケですが、可動部分にびっしりとこびりついたカーボンスラッジ。
この部分が入り込む、バイパス側もカーボンでびっしりです。
(カメラが入れられない場所で、写真が撮れませんでした)
これではISCでのバイパスの制御は、おそらくキチンとは行えていなかったのではないでしょうか?
普通のブレーキ(パーツ)クリーナーではプラスチックを痛めますので、ウェスにエレクトリッククリーナーをたっぷり染み込ませて拭き取り掃除をします。
完全にキレイになると、中心には金属のシャフトが見えてきます。
スロットルも少し汚れています。
こちらは普通のブレーキクリーナーをウェスと綿棒に染み込ませ、片手でスロットルワイヤーの根本を押してバタフライを水平に開けてクリーニングです。
バタフライにクリーナーを吹き付けてはいけません。バタフライシャフトのグリスが抜けてしまいます。
スロットル周りのクリーニングは、実はかなり繊細です。
間違ったやり方でDIYしてる人が多いらしく、そのせいでエンジン不調になったり、最悪の場合は壊してしまう例も聞きます。
ISC、スロットル周りともキレイになったら、元通りに組み付けます。
ちなみに、作業を始める前にバッテリーのマイナス側のターミナルは外しておきましょう。
なぜなら、ECUのリセットが必要となるからです。
あれだけISC周りが汚れていたら、ECUが想定してる開放率と、ISCでの実際の作動率にかなりのズレが生じてた可能性が高いので、そのズレを補正するために一度ECUをリセットしなければなりません。
すべての作業が終わったら、バッテリーのマイナス側ターミナルを接続して、エンジン始動。
そしてECUのリセットです。
ECUのリセット方法ですが、詳しいやり方は近いうちに別記事で書きます。
ただ、私は手抜きのやり方で済ませてしまうことが多いんですが・・
*ここでせっかくクリーニングしたISCバルブですが、1年半後に結局は故障しました。
作業の結果
実は、今回のISCソレノイドバルブとスロットル周りのクリーニングは、プラグ交換と同時にやりました。
なので、どれが功を奏したのかは、いまいち不明なのです。
ですが結果としては、完全に調子を取り戻しました。
14万kmオーバーの走行距離のOH無しのエンジンでの、この吹け上がりとパワー感は、久しぶりにシビれました。あの悩まされたストールも完全に解消しました。
やっぱりCT9A・ランエボは速いです!
こんな多走行車のエンジンがこれほどの調子を保っているのは、ニューテックのオイルのおかげなのは間違いないですが、4G63エンジンのタフさにも感動しました。
たとえばホンダのVTECエンジンじゃ、こうはいかないですからね。B16やB18、F20Cなんか、OHなしで10万km超えたらヘロヘロですから。
あらためて思いました。
エボ以外のクルマには乗りたくないです。
街乗りで使い勝手の良い、2リッターとは思えない強力な低速トルクと広い車内やトランクと4ドア、そしてエンジンパワーを最大限に生かせるだけでなく、雨や雪道でも安心な4WDの強烈なトラクション。
こんなクルマ、他にはほとんど無いと思いませんか?
*追記
アイドリングから回転が上昇していく時のフィーリングは改善したものの、かんじんのストール症状は再発してしまいました。
これは低回転時の吸入エアの測定が、うまく行ってない可能性が大です。
スロットルポジションセンサー編に続きます・・・