かんたんな作業のはずが、悲劇の結末を迎えた、前回のPCVバルブ交換。
このままでほっとくわけにも行かないので、作業続行です。
カムカバーの取り外しに掛かります。もう日が暮れそうなのに・・・
カムカバーの脱着って、CE9Aでは何回もやりましたが、CT9Aでは実は初めてなんですよね~
カムカバー取り外し
カムカバー、ヘッドカバー、タペットカバー、いろんな呼び名がありますが。三菱での名称はロッカーカバーですね。
作業に掛かる前に、ざっと下見をして頭の中で手順を組み立てます。
カムカバーを外すための下準備
ヘッド上にある、作業のジャマになるパーツは取り外します。あんまり多くないですね。
イグニッションコイル ×2
プラグコード ×2
O2センサーのケーブル
メインハーネスのサポート台座 ×2
イグニッションハーネスとカプラーとサポート
すべて10mmのソケットでイケます。他の車種にくらべたら、かなりラクかも?
ただ、O2センサーのケーブルのカプラーだけは、外すのにアイスピックのような尖ったもので、先が90度に曲がった工具(何ていう名前なんでしょ?)が必要です。
まあ、このケーブルは外さなくてもカムカバー(ロッカーカバー)の脱着はできますけどね。ただ、外したほうがやりやすいです。
カバーを外す前に、先にやっとくことがもう一つ。
下の写真の赤丸の部分を見てください。
これ、2次エア供給システムの一部、エアリードバルブの取付面の金属製ガスケットの″耳″です。
なんかピョコンと飛び出ているんですが、こいつがカバーを外す際に引っ掛かる仕様になってます。
CT9Aの4G63のカムカバー(ロッカーカバー)は、ボルトを全部外しても、そのまま上には取り外せません。
カバーの左側面のアーチ部分が、カムプーリーに潜り込むようになってるためです。
そこでカバーを外す時は、右側を持ち上げ+引き上げで取り出します。
ところが例のガスケットの耳部分が、見事にストッパーの役割を果たしてくれちゃってますので、そのままではカムカバーはびくともしません。
この金属製ガスケットが挟まってるハウジング、ボルト2本でとまってるので、右側は緩めて、左側だけ外せばガスケットを上にずらすことができます。
ここまでで準備は終了。
カムカバー(ロッカーカバー)取り外し
カムカバー(ロッカーカバー)はボルト13本でヘッドに固定されてます。
タイミングベルトカバーにも2本あります。赤矢印がボルトの位置です。
タイミングベルトカバーは、外す必要はありません。上側2つのボルトだけ外せばOKです。
他の13本のボルトですが、緩める時も、締める時も、順番があります。
締める時は内側から対角線上に締めますので、緩める時はその逆に、外側からです。
(カバー外周の中心側を内側と捉えるか? それとも、プラグホールガスケット周辺を内側とするか? ちょっと確信がなかったのですが、プラグホールガスケット周辺を内側として作業しました)
緩める時と締める時、どちらの場合でも、一気にやらずにジンワリと少しづつやるのが基本。
外したボルトは、元の位置関係通りにキープしときます。
これでカムカバーが取れるはずです。丁寧にチカラを掛けて、グイっと・・・・
ビクともしません。
まったくハズレません。接着してあるんじゃないか? と思うくらい、ピクリともしません。
でも大丈夫。こんな時のための、プラハン(プラスチックハンマー)でしょう。
コンコンと優しくカバーを叩いていきましょう。
すこし叩いて、カバーを揺すってみて様子を見ます。まだダメです。
コンコンコンコン・・
まだダメです。やれやれだぜ・・・
コンコンコンコンコンコンコンコンコン・・
まだです。でも焦っちゃダメです。やさしく・・やさしく・・やさし・・・やさ・・
ガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッ
オラオラオラオラオラオラオラッァァァァ!!
くたばれ!くたばりやがれ!オラァッ!
・・・なんだこいつ? 全然ハズレねえぞ?
まあ、よくあることです。こんな時、ついやりたくなってしまうのが、マイナスドライバーなんかで、スキマからグリグリ抉ること。絶対やっちゃだめです。
じゃあ、なぜ私の右手にマイナスドライバーが握られてるのか?
じつは一箇所だけ、ドライバーでグリグリやれるところがあるんです。
それがココ
正面左側のタイミングベルトカバーの下辺り。
もともとスキマが空いてて、密着してない部分です。カバー内部ではないので、いくらキズが入ろうが、構うことはありません。
ここにマイナスドライバーを入れてグリグリ・・・・するとすぐに、
パカンッ
やっとカムカバーが外れました。
あとは右側から浮かしながら、スライドさせて抜き取るように、カムカバーを取り出します。
きったねえ~! もうまっくろ! ブラックすよ、ブラック!
つい3ヶ月ぐらいまでは、銀ピカだったのに・・ PCVバルブ故障、恐るべし。
(この後オイル交換して、しばらく走ったらキレイになりました)
とりあえず本来の目的である、真っ二つグロメットの残骸の救出です。
結果からいうと、4G63も隔壁構造でした。残骸は隔離されていて、中には落ちていませんでした。だからといって、そのままほっとくわけにはいきませんでしたが。
さあ後は、タペット(ロッカー)カバーガスケットと、プラグホールガスケットを新品に交換して、組み直しです。
カムカバー取り付け ガスケット交換
必要になるのは、
ロッカーカバーガスケット MD340535 1782円
プラグホールガスケット MD186785 1984円
液体ガスケット (市販品OK ワコーズとか) 1500円ぐらい
なんか、タペットカバーボルトのワッシャーも、新品にした方が良さそうに見えるんですが?
整備書では再使用可になってますが。まあ、どうせ注文してないので、このままいきます。
クリーニング
この作業でいちばん大変なのは、洗浄です。外したカムカバーを、どこまでキレイにするか?
徹底的にやろうと思ったら、パーツクリーナーが何本あっても足らないくらいです。ほどほどにしときます。
でも各ガスケットがハマってたミゾは、特に念入りにクリーニング。
まあ、こんなもんかな?
その次がヘッド側の、カム(ロッカー)カバーガスケットとの当たり面のクリーニング。
オイルが一面に付いてますので、パーツクリーナーで脱脂。そして古い液体ガスケットのカスをこすり落とします。
得意の割り箸加工の使い捨て自家製ツール。傷を付けずに済みますよ。
ドライバーなんかでやっちゃダメですよ~
クリーニングが終わったら、液体ガスケットを塗って組み付けです。
カムカバー組み付け
まずカムカバーに、ロッカーカバーガスケットとプラグホールガスケットを取り付けて、液体ガスケットを必要な部分に塗ります。
整備書で指示された部分はここです。
塗りつける量ですが、カムポジションセンサーハウジングや、カムプーリー側などの半月型部分の90度のコーナー部分は、はみ出さない程度に多めですが、それ以外は極薄で大丈夫です。
塗り終わったら、液体ガスケットが乾き出す前にすばやくカバーを戻します。
そして13本のボルトを、内側から外側に向かうように締めていきます。
ボルトを締める時ですが、いきなりラチェットレンチなんかを使わず、ラチェットのエクステンションバーのみで、手の力だけで締めていきます。
Tレンチの軸の部分だけ使ってもいいですね。そして全部のボルトを、少しづつ順番に締めていきます。
整備書指定の締め付けトルクは、なんと3N.m! 0.3キロ? そんなゆるくて大丈夫なの?
この数値だと、手で締めただけで充分かも?
一応小型のラチェットで、ハンドル回転角で45度分だけ増し締めしました。
あとは、準備の時に外したパーツ類を元通りにして、終了です。液体ガスケットが完全に乾くまでは、エンジンかけちゃダメです。ワコーズの製品で3時間、3Mだともっと掛かるかな?
終わった時は夜ですよ、もう。明日の仕事、朝早いのに・・・やれやれだぜ・・・
作業後のインプレ
肝心のPCVバルブ交換後のインプレですが、激変しました。
PCVバルブ本体だけでなく、ブリーザーホースやグロメット(ガスケット)もかなりヘタってましたから、結構影響は大きかったようです。
これまであった異常は、すべて解消してます。また治ったフリしてるだけかも知れませんが・・・
*作業から1年経過。完治しました。再発してません。