それはある土曜日の夜でした。っていうか日曜の午前3時。
バス釣りに出掛けようと、タックルを積み込んでエンジンスタート。
水温が70℃を超えても、アイドリングの回転数が1500rpmから下がらない。
かまわず走り出す。
結局2時間走って、目的地の湖に到着。アイドリングはずっと1500rpmのまま。
まあこの時は、そんなに気にしなかったんですよ。
うちのエボ、昔から季節の変わり目にはこんな症状出てたんです。
特に晩秋から冬にかけて。
まるでキャブ車。
まあキャブと違って、なんにもしなくても勝手に治ってた。
今までは。
ところが今回、1週間たってもアイドリングは高いまま。
これはどっかが異常ですよ。
ISCか?エアフロセンサーか? 水温センサーか?
まあ水温センサーは無いでしょう。
このエボ、水温計はECUから数値を拾ってるので、センサーがイカれてたら、水温計の数字に出るはず。
この時はISCはまだそんなに疑ってない。
とりあえず様子見でエンジンチェックランプの点灯待ち。
ランプ付けば、ログに残るので原因特定できる。
そのまま毎日走ってたら、今度はアイドリングが低い方で固定されてしまう。
500rpmぐらいから上がんないんですよ。
おやあ? これはISCかなやっぱり?
でもISC故障特有のハンチングが出ない。
昔に乗ってたエボ2の時だと、ISCバルブヤラれるとハンチングというか、派手なレーシング出てたんですけどね。
私は時代背景に合わせて、エボの狂牛病と呼んでましたが。
余談ですが、当時のガレージHRSのFAQ掲示板で狂牛病という呼び名をはやらせたのは私です。
どーでもいいですが。
もしISCバルブだと、早めに交換しないとECUがパンクしてしまう。
ISCソレノイドバルブのドライブ回路、なぜかECU基板上にあるんですよ。
バルブがちゃんと動かないと、動作電流送ってるドライブ回路がオーバーヒートして電解コンデンサが破裂、飛び散った電解液がECU基盤上の部品にばらまかれてECUがご臨終という、アポカリプスな設計になってます。
まあ自宅にラリーアートのECUがスペアであるんで、ちょっとユルく構えてますが。
ISCだったらやだなあ・・
エアフロかも知れないから、週末にスペアの中古エアフロと交換して様子みようかと思索しながら、いつものスーパーの駐車場に乗り入れたとたん。
コレですよ。
出ましたよ狂牛病。
あ~あ・・
結局はISCか・・・
やだなあ・・・
なぜそこまでISCバルブ交換を嫌がるのか?
それはこの後で。
ISCバルブ交換手順
さっそくディーラーに電話。
まだ営業時間内のはずなのに、留守録メッセージ・・・
なんとこのディーラー、いつのまにか週休二日制になってました。
しかも閉店も1時間早くなってる・・・
いつECUがパンクするかも知れないのに、2日も悠長に待ってられん!
(すでに2週間以上も悠長に放置してたのは完全に忘れてる)
ここはネットで買うしかない!
まずはPartsfunで部品番号検索。
おや?番号が3種類もあるぞ?
年代ごとに違ってますね。
ってことは、一番新しい 1450A069 を買えばいいってことか。
どうせ古いので注文しても、新しい方しか出てこないだろうし。
発送の早いアマゾンや楽天で純正部品番号入れてみますが、なんか中華っぽい安物互換品しかヒットしません。
仕方ない・・ここはモノタロウで。
価格は22500円ぐらい。
2日でご到着。
なんか見た目が変わってます。
これが古い方
こっちがおそらくエボ9用の新しい方。
なんか形状がかなり違いますが?
まあ改良品と信じて使用します。
さっそく交換しましょう。
手順はシンプルです。
1)バッテリーマイナス端子を外す。
2)ISCの脱着作業のジャマになる、インテークの一部を外す。
3)ISCバルブをボルト3箇所抜いて外す。
4)新しいバルブを付ける。
5)インテークを戻す。
6)バッテリー端子を戻して、ECU再学習。
インテーク脱着無しで、バルブ交換してる記事を見たことありますが。
不可能ではないと思いますが、ちょっとミッションインポッシブルすぎ。
インテーク外したほうが、はるかにやりやすいです。
とくに私のエボの場合、スロットルボディ周辺にアーシングのぶっといケーブルが何本ものたくってるので、作業スペースが確保できない。
外すインテークは、
この黒いゴムの部分。
最初は固くてビクともしませんが、根気よく揺すってればそのうち外れてきます。
SSTがあれば効率よく外せますね。私は持ってませんが。
スロットルボディの真下に、ISCバルブが3本のボルトで止まってる。
まずはカプラーを外して、3本のボルトをプラスドライバーでゆるめてやれば、本体はすんなり取り出せます。
普通だったら、作業時間は30分も掛からないくらい。
簡単なハズなんですが。
私、2時間も掛けて大ハマリ。
その理由こそ、このISCバルブ交換を嫌がってた理由。
その理由とは、3本のボルトのうちの1本のアタマをナメてたから。
1年半ぐらい前にISCバルブを一度外して、クリーニングしてるんですが。
クリーニング後の取り付け時に、うっかりプラスの溝をナメちゃった。
それを覚えてたので、今回すんなりボルトが回せるか不安でしょうがなかった。
そして不安的中。
まったくドライバーが掛かりません。
しかも作業スペースがないので、ハンマーやバイスなどのツールも使用できない。
鍋ネジなので、プライヤー類も使えない。
1時間以上も悪戦苦闘しましたが、ボルトのアタマのミゾはどんどん円状に崩れていくばかり。
もうあきらめて元に戻してから、ショップかディーラー行こうかと思いましたが。
フッとアイデアが浮かんだ!
ボルトが通ってる部分って、バルブ本体の耳状の部分。
しかも本体はプラスチック製。
この耳を切ってしまえばよくない?
のこぎりみたいなツールはスペース上使えませんが。
プラスチックだから、熱で焼き切ってしまえばいい。
さっそくコレのスタンバイ。
ハンダこて。
私はハンダこては何本も持ってますが。
画像のコレはハンダ付け用には使わず、焼き切り専用。
数々の修羅場をくぐって、コテ先が歪んでます。
さっそくカチコミや!クククッ
ある程度は耐熱性のある素材のようで、かんたんに溶けるわけではないですが。
それでも手応えあり。イケます。
なんか金庫破りをしてる犯罪者の気分。
あせらず慎重に耳の根本部分を焼き切っていく。
出来ました。
残ったボルトと耳の欠片。
プライヤーではさんでクリクリ。
無事に全摘出成功。
あとはチャッチャと新品のISCバルブを組み込んで、インテークを戻して終了。
バッテリーを繋いで、再学習。
新しいISCバルブ、しっかり馴染んでくれたみたい。
まあ今回はボルトがナメてたというハプニングがありましたが。
作業自体は、DIYでも相当簡単です。