前回までのおさらい。
問題の、12月頃から始まった謎のストール、息つき症状。
症状1
アイドリング付近から2000rpmまでの低回転で、アクセルが一定もしくは踏み込んだ時に時々失火したようにストールする。
200rpmぐらいまで落ちるが、エンストはしない。1,2秒で復活して元に戻る。
症状2
アイドリングがハンチングする。
ISCサーボの故障によるハンチングとは、タイプが違う。
症状3
うっすらであるが全体的にエンジンの回り方が鈍く、アクセルのツキ(レスポンス)が悪い。
パワー、トルクも出てない。乗ってて楽しくない。ハッキリ言って不愉快。
症状4
オイルフィラーキャップから見えるエンジン内部の汚れ方が異常。
使用オイル、オイル交換のペースは変わらないのに、これまでとは違って内部が真っ黒に染まるほど、汚れてきてる。
こんなカンジのトラブルが、最初は1週間に1回程度だったのが、だんだん毎日のように頻発するようになってきてました。
最初は失火症状に思えたので、プラグ、コード、イグニッションコイルなどを交換。何も改善せず。
しかし、そのうちに空燃比の大きなズレではないか?と感じ始め、燃調に関わるセンサー類や、制御系のパーツを交換してきました。
それらのパーツもそれなりに劣化はしてましたので、リフレッシュにはなりました。
が、肝心のトラブルが完治しません。
これまで経験したこと無いタイプのトラブルなので、似たようなケースはないか、ネットで情報収集したりしました。
ちなみに三菱ディーラーはとっくにお手上げ状態です。まったく頼りになりません。
プロショップに持ち込むことも考えましたが、最後まで自分で頑張ってからにしようと思ってました。
自分の感性を″天まで思い上がる″ほど、信じ切ってる私です。
燃調がおかしい、この判断は微塵も疑ってません。
「この私が原因を見つけられないだと?」
ブツブツ独り言を言いながら、E/Gルームをチェックしてる時、ありえないほどの汚れ方をしたエンジンオイルを見てて、かなりむかしに、あるメカニックから聞いた言葉を思い出しました。
「Zはいつだってオマエしだいだ、アキオ」
「ブローバイガスの流れをコントロールするPCVバルブがイカれると、エンジンオイルが激汚れになる時がある」
PCVバルブはヘッドカバーに付けられた1Wayのバルブで、クランクケース内の圧をインマニ側に逃がす役をしてます。
CT9Aの4G63は、掃気型とか循環型と呼ばれるブローバイガスのコントロールをしています。
ブローバイガスなどのクランクケース内のオイルミストの混じったエアは、PCVバルブを通してインマニ側へ排出、燃焼室に送って再燃焼させられます。
そして、フレッシュなエアをエアインテーク側につながったホースから引き込んで、クランクケース内の掃気を行っています。
これによって、エンジンオイルが汚れるのを防いだりしてます。
PCVバルブは、内部にスプリングとプランジャで構成された1Way(1方向)のニードルバルブ構造をしています。
たまにネット上でPCVバルブの間違った解釈を見掛けます。
このニードルバルブ構造の事を忘れてるのではないでしょうか?
アイドリング時のように負圧が大きい時は、たしかにバルブを開く力は大きくなりますが、バルブが開くほど、中のニードル形状は閉じる方向で働きますので、実際の流入量は減ります。
逆にアクセルを大きく開ければ、バルブの開きは減りますが、その分ニードルバルブは大きく開きますから、実際のエアの流量は多くなります。
年数たったPCVバルブの内部のスプリングはヘタりますし、通路やニードルバルブ周りにはスラッジがたまったりもします。
そうなれば1Wayではなくなったり、もしくは固着してまったく開かなくなったり、または通路がスラッジで塞がれ気味になって、計算上のエア流量が確保できなくなります。
しかもやっかいなのが、固着するか、2Wayになっちゃうかのような分かりやすい壊れ方をすればまだマシなのですが、不安定にどちらの動きもしてしまう、というトラブり方もあることです。
エンジンオイルの汚れ方を見るまで、今回のトラブルにPCVバルブが関わってる可能性があることを、恥ずかしながらまったく思いつきませんでした。
しかしもう、昨日までの私ではありません。
さっそくPCVバルブを外してチェックしてみます。
PCVバルブのチェックとクリーニング
PCVバルブはヘッドカバー(カムカバー、タペットカバー)にゴムのグロメットを介して差し込まれてます。オイルフィラーキャップの斜め上あたりです。
ただ差し込んであるだけなので引き抜けばいいのですが、これが指の力だけで簡単に引っこ抜けるようでしたら、グロメット(ガスケット)もヘタリまくっている証拠です。
っていうか、CT9Aはエボ9であっても、すべてヘタってると思われます。
とりあえず外したPCVバルブをチェック。正常なバルブは、手に持って振ってやると、カルイ音でシャカシャカ鳴ります。完全に固着してると無音です。
一応は音が出ますが、あまりカルイ音ではありませんでした。
パーツクリーナーでクリーニングしてみます。
中からドロドロとスラッジが出てきました。これはヒドイ・・
ここでまたブンブン振ってみると、かなり音がカルクなりました。でもクリーニング中にちょっと気になることが・・・
バルブの中に両側からクリーナーを吹き付けるんですが、どっち側から吹いても、反対側からクリーナーが出てくるんですよねえ。
1Wayじゃなかったっけ?
ホースが差し込まれる側からは、何も通らないハズじゃ? バルブ開きっぱなしになってる? それともこんなもの?
ひょっとしたら、スラッジのせいでバルブが完全に閉じなくなってるのかもしれません。とりあえず延々とクリーニングします。
いい加減飽きてきたので、いちど取り付けてみて変化があるか見てみます。ECUリセット後に試乗です。
・・・こいつ・・直っているのか?・・
はい、あれだけ出まくっていた症状のすべてが、きれいに解消しています。
その後1週間ほど乗り続けましたが、快調そのものです。
ただこれまでの経験から、、まだちょっと半信半疑です。
MAPセンサーのときは、1ヶ月ぐらい治ったフリされましたからね。
私のエボ7、人間でいえばとんでもないビッチですからね、かんたんには信用できません。
ですがPCVバルブも異常があったのは事実ですから、新品交換することにします。
PCVバルブ周りの交換作業
PCVバルブを交換する時は、バルブ本体の他に、グロメット(ガスケット)、ホースの3点セットで交換します。
なぜなら、グロメットもホースも同様にヘタってるのは確実だからです。
交換しとかないと、エア吸いやオイル漏れの原因になりますし、バルブとの気密性も保たれません。
PCVバルブ MD301843 2862円
バルブガスケット 1057A033 280円
ブリーザーホース 1035A457 918円
PCVバルブ高いな・・・以前は1000円ぐらいじゃなかったっけ?
パーツが揃ったら作業開始です。
ここで最初に言っておきます。
この作業はじつは見た目と違って、意外と難易度が高いです。
一見とても簡単そうですが、とんでもないワナが待っています。
よっぽどDIY好きじゃないかぎり、自分ではやらずにプロに任せた方がいいです。
どんなトラップが仕掛けられてるのかは、この先を読めばわかります。
ブリーザーホースの取り外し
まず、PCVバルブとインマニをつなぐブリーザーホースを外します。
ここと、
ここの2箇所のホースクランプを、プライヤーで挟んで緩めてから、ホースを抜きます。
ここでの問題は、インマニ側のクランプが燃圧レギュレーターの真下にあるため、プライヤーでクランプを挟むことがかなり難しいとこです。
私は四苦八苦したあと、諦めて燃圧レギュレーターを外してからやりました。
画像ではレギュレーターがありませんね。
ちなみにここのホースクランプ、かなりヘタってて、ユルユルでした。手持ちの新品に交換します。
外れたブリーザーホースです。遮熱用か何かのスポンジカバーが付いてましたが、取っ払ったところです。
PCVバルブの取り外し
取り外しと言っても、ただつかんで引き抜くだけです。
ガスケット(グロメット)がヘタってなければ、かなり固くて、指の力だけで引き抜くのは困難ですが、私の場合は「スポンッ」と抜けました。
新品と比べてみます。
さて、次が問題の、グロメットというかガスケットの取り外しです。
PCVバルブのガスケットの取り外し
もし、PCVバルブ交換作業をDIYでやろうとしてる方がいましたら、引き返すなら今です。
ブリーザーホースとPCVバルブ本体の交換だけで済ませて、ガスケットはディーラーなりプロショップなり、でやってもらった方が賢明です。
このヘッドカバー(カムカバー、タペットカバー)にただ差し込んであるだけのゴム製のガスケットが、どんな厄介事を引き起こすか・・・
予備知識はあったんですが、それでもやらかしてしまいました。
このちっぽけなゴムのグロメット。
三菱では″PCVバルブガスケット″が正式名称ですが、この周辺の交換を考えてるということは、年数も走行距離もかなり逝ってるわけですよね?
そうなると、このゴムは相当カチコチに固くなって、しかもカムカバーに固着してるわけです。
で、プライヤー類で端っこを挟んで引き抜こうとすると・・
ボロボロとちぎれてきます!
それは予想してたので、割りばしを薄く削って細いヘラ状にした自家製SSTを、カムカバーとのスキマに少しづつ差し込んで固着を剥がしながら、そしてグロメットを抜く前に、ためしに左右に回してみます。
どうやら固着がはがれて、左右に回るようになりました。
そこでいよいよ、引き抜きに掛かります。慎重に慎重に・・ゆっくりと・・・ちぎれないように・・・
ちぎれました! 真ん中から真っ二つです!
・・・・ま、まあ、想定済みではあったので、カムカバー内側に残った下半分の残骸の救出に掛かります。
ラジオペンチでしっかり掴み、なんとか引っ張り出せないか格闘します。
あまりチカラを入れると、ボロボロくずれて破片がカムカバー内に残ってしまうので慎重にやりますが、ちょっとでもラジオペンチを離してしまったら、下半分の残骸全体が落ちてしまいます。
余談ですが、私は小学校の時の理科のカエルやフナの解剖実習では、天才外科医″ブラックジャック″と呼ばれていた漢です。
指先の器用さは、まさに精密機械レベルです。
私の神の手をもってすれば、この困難なミッションも克服できるはず・・よし・・もう少しだ・・
・・・ポロッ・・・
落ちました・・・下半分の残骸・・・カムカバーの中に・・・
ノオオオオオオオオオオッ!
とりあえず、震える手でタバコに火をつけ、しばし現実逃避します。
こういう事態になりやすいことは知ってましたし、覚悟を決めて臨んだつもりです。
ですが覚悟完了ではなかったようです。
しばらく呆然としてしまいました。
いったん作業を中断し、部屋に戻ってネットで情報を探しました。
というのも、ミラージュの4G92か、レグナムあたりの4G93では、PCVバルブの取り付け部位のカムカバー内部は、なんというか隔壁で仕切られたような構造になっていて、破片を落としてもカムシャフトとかの上には落ちない仕組みになっていたはずです。
そこで4G63も同じかどうか、知りたかったのです。
でも残念ながら、情報は見つかりませんでした。
「たぶん、4G92と同じさ。グロメットの残骸は無事に決まってる!」
「エンジンかけても大丈夫、とっととディーラーに行こうぜ!」
そう囁く声が聞こえてきます。幻聴? 悪魔の誘い?
しかし、この状態でエンジンをかける勇気なんて、そんなギャンブラーなマネ、とてもできません!御無礼!
仕方ありません。新たなミッションに移行します。
「カムカバーを開けて、ちぎれたグロメット救出ミッション」
(コードネーム:サンダードーム)です。
カムカバー脱着とガスケット交換(ついでにグロメット救出)に続きます。
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