チューニングカー。
なんかもう、言葉の響きが死語!ってカンジですね。
お亡くなりになった言葉なんですよ、もう。
わたくし、90年代末ぐらいからのチューニングカー全盛期、もろリアタイで通ってますが。
当時の愛車、いや、”マシン” は、CE9A・ランサーエボリューションⅡRS。
車体はロールバーやら、スポット増しやら、追加補強バーてんこ盛りやら。
サスは、メンバーごとアーム類を移植で総交換。
デフは前後ATS製。
車高調は、安めのを何回も入れ替えたんで、最後が何だったか記憶に無し。たぶんCUSCO。
エンジンも、ピストン、カム、クランクシャフトは他車流用と社外。
タービンなどの補機類は、純正改造ハイフロー+社外。
ここまでやっても、シャシダイで300ps、あるかないか。
ダイノパックでは、たったの275ps。
*ちなみに、「頭文字(イニシャル)D」に出てくる、CE9A・”ランエボ”3 須藤京一仕様は、私のエボ2とほぼ同仕様で360psだそうですが、タービン交換しないかぎりゼッタイムリ! 作者さん、盛りすぎです。
ノーマルよりは曲がるが、基本は強アンダー車。
意図的にリアを振り出していかないと、曲がらない。
低速コーナーではいいが、高速コーナーでは踏めないクルマでした。
後に乗り換えた際に実感しましたが、これだけお金を(ン百万円)使っても、どノーマルのCT9Aの方がトータルでは、ぜんぜん速いです。
さて、表題の車検に戻りますが。
チューンドカーにとって、車検はやはり悩ましいところ
ちなみに、ホイール変えただけで通らない、なんて言われてたほど厳格(というか閉鎖的)だった車検制度が緩和されたのが94年くらいだった、と思います。
その後に起きた、空前のチューニングブームは、この規制緩和が大きな要因だと思います。
昔にくらべると、ホント何でもアリって錯覚するほどユルくなりましたからね。
上記のエボ2だって、車高以外はぜんぜん問題なかったんですよ。
ショップオリジナルのマフラーなんか、2km先から接近がわかる、なんて仲間から言われてたほどウルさかったのに。
当時はショップに車検は依頼してましたが、たぶん陸運局に持っていく時だけ、車高を上げて対応してたと思います。
そしてチューニングカーブーム終焉頃の2000年代はじめ頃、今のエボⅦに乗り換え。
イジり具合はエボⅡほどじゃないので、この頃くらいから街の普通の車検屋さんを利用し始めるんです。ちょうど指定工場認定を受けた(受けさせた)町工場をフランチャイズ化して、格安で当日に終了させるスタイルのビジネスが出始めたので。
それまでは十数万円かかってた車検コストが、法定費用+手数料1万円とかの格安料金で出来るようになったので、普段からメンテちゃんとしてて、車検なんか義務悪としか思ってなかった私みたいな走り屋連中には、こうした格安系の車検屋は好都合だったワケです。
じっさい、2010年ぐらいまでは、検査でダメ出しされることもなく、サイトに乗ってる参考価格通りの金額であがってました。
でも様子がだんだん変わってきたのが、2010年以降くらいから。
今回の車検で手こずった経験をもとに、以前とは違ってきてる車検事情のお話を。
こんなに小さくなって、電子化された新・車検証
現在のチューニングカー車検事情
ここからは、今回の車検での体験を紹介しながら、私見を書いてみます。
ちなみにまったくの私見ですので、事実とはことなる部分もあるかも知れません。
車検業界側の、実情に詳しい方などからは失笑モノかも知れませんが、お許しください。
車検を通すには、3タイプありますよね。
まず、指定工場での車検。
上で書いたフランチャイズ系とか、ディーラーとか。
完全に個人経営の1店舗だけの工場だと、指定認可されてるところは少なめかも知れません。
メリットは、クルマを預けてる時間が圧倒的に短いコト。
陸運局まで持っていく手間と時間が、省略されてますからね。
フランチャイズ系のウリ文句、「半日車検」とか、「2時間車検」などは、指定工場でしか実現できません。
お店側は代車の用意いらないし、一定時間内でさばける数も増えるので、客側も予約取りやすくなるし、両者側でのコストが下がるので、お互いにウィンウィン。このビジネスが伸びるワケです。
しかも休日にも受け付けてるお店がほとんどなので、平日休めない方々なんかは、もうこのタイプ一択でしょう。
ただ、私見では、このタイプは欠点が4つほどあります。
まず、次に触れる認証工場タイプと違って、基本融通が効かないです。
フランチャイズ系だと、まずは数をこなしてナンボの商売スタイル。
1台に時間を掛けてらんない。
なんとか工夫して検査基準に通るようにする、なんて手間は掛けてくれない。
次に、車種専門のノウハウが少ない。
電球の交換みたいな、平凡な汎用品の在庫はある程度ありますが、ちょっとでもパーツ交換が必要だと、よそで対応してから、車検だけ出直しになります。
半日車検なのに、けっきょく2回行くハメになるわけですよ。
そして費用。
企業サイトなんかでは、法定費用+手数料=57,500円~ なんて謳われてますが。
大ウソです! ・・・っていうと、言い過ぎですが。
じっさいに検査を受けてみると、ほぼ例外なく、何らかの追加費用を取られます。
一般のカーオーナー、エンジンオイルすら自分で交換したことないオーナーなんか、まさにカモ。
なんだかんだと不良箇所を指摘されて、けっきょくは10万円オーバーなんてザラです。
ノーと言えない日本人な人だと、ディーラー車検より高くなるケースも。
まあガソリンスタンドと一緒ですよ。
スタンドも、ガソリンだけ売ってたんじゃ、倒産してしまいます。
なんらかのオプションつけて、稼がないとならないワケです。
そしてコレがいちばん肝心なんですが、基本的にスポーツカー、走り屋風のクルマは嫌われます。っていうか、受け付けてくれないことが多いです。
コ◯ック系列なんかだと、チェックもせずにチラ見で門前払い、食らった事が複数回あります。
まあ、コバ◯ク系といっても、お店にもよりますけどね。
指定工場の認可を受けてるお店がもっとも恐れるのは、認可の取り消しです。
ニュースでもたまに出てきますが、不正車検に加担したとされて、取消処分をされる。
この場合、悪意があってやったコトではなくても、お客に良かれと思って甘めに審査して、結果後にチクられて発覚、なんてコトもあるようです。
しかもこの、チクったヤツが同業他社ならともかく、便宜を図ってもらったお客自身だったりするから、なお始末が悪い。
チクるというか、「あの店だったら、何でも通る」みたいな噂をたてるんですよね。
これじゃ、お店側はたまったものではない。
もともと審査基準に対して、グレーな部分が多くなりがちな走り屋系のクルマ、とうぜん受けたくなくなりますよね。
次は認証工場タイプ。
このタイプは、車検に必要な整備を行い、車検場への持ち込み検査を代行するスタイル。
検査自体は、陸運局まで持ち込みで行うので、その分に時間がかかります。
まあ普通は、最低でも1晩は預かりになりますね。最低2回は、お店まで行かなきゃなりません。
あんまりメリットなさそうですが、じつはこのタイプ、お店によりますがメリットあります。
それは融通が効きやすい、ってところ。
これは闇車検のような、違法行為という意味ではありません。
新人ばっかり揃ったお店とかじゃないかぎり、通常は認証工場のメカニック達は、地元の陸運局の車検場のことを知り尽くしてるワケです。
なんなら検査官や、彼らのクセとかまで。
場合によっては、他県の陸運局まで遠征したりもしてくれる。
チューニングカーの場合、いくら合法チューンといえども、けっこうギリ、というか、グレーゾーンの部分はあるものです。
マフラーの音量とか、排ガスとか、いろいろとね。
私の場合、タイヤがちょっとグレーだった。
検査官によっては、ハミ出し食らう可能性があったんですよ。
インセット20(純正38)まで攻めてましたから。
もう、ツラッツラ。
2017年の法改正よりはるか前なので、ちょっとでも出てたら、もうNG。
こんな場合でも、経験値高いトコだと、ネガキャン多めに付けたりとか、簡易オーバーフェンダーなんかで対応してきます。
エボ系ショップなんかだったら、お店にある純正ホイールに履き替えたりとかも可能。
なにかと使い勝手いいわけですよ、認証工場は。
リアのみ純正ホイールで車検対策
そして最後はユーザー車検。
ふだんメンテなんかを散々DIYしてるんだから、車検も自分でやりそうなもんですが。
わたし、車検だけは自分でやろうとは、一度も考えたことないです。
なぜなら、メンテやチューンは得られる結果が趣味としてポジティブなモノなのに、車検はイヤイヤやらされる、ネガティブ感あふれる義務でしか無いから。
これ、自分でやったら、たぶんムカついてしょうがなくなると思う。
さて、私の場合に戻るんですが。
すでに所有歴20年を超えた、CT9A・ランサーエボリューション7RS。
車検回数も10回以上。
1回目と2回目は、たしかチューニングショップで受けたはず。
その後は、認証工場タイプのショップで複数回。
そしてここ10年ほどは、フランチャイズ系の指定工場でやってました。
上述の通り、タイヤのはみ出し以外は不安要素は無かったので、認証工場では簡易オバフェン、指定工場に変えてからは、検査の時だけ純正ホイールに履き替えて対応。
それで全然問題なく、通してきたワケです。
ところが。
2回前くらいから、なんか様子が変わってきた。
しばらく連続で出してたお店、車◯館なんですが。
なんか明らかにイヤそうなオーラ、出してきたんですよね。
来られると迷惑みたいな。
それまでは無かった、妙なツッコミがだんだん増えて来たんですよ。
ずっと同じタイヤとホイールなのに、はみ出してるだのなんだの。
嫌がらせに近くなってきたんで、見切りをつけて、今回は他店を物色してみました。
まあ、私が悪いんですけどね。
店側からのオプション稼ぎの提案、ことごとく論破して退けてきてたんで、店からしたらもうイラない子になってたんでしょう。
自宅近くで評判いいトコ探してみると、コ◯ック系ですが、評判良いトコがある。
さっそく予約を取って来店。
店内に入って車検証を渡し、ソファから外の愛車を眺めてると。
お店の年配のメカが私のエボに近づくなり、なんか文句ありそうな、胡散臭そうに眺め回してる。
それを見た瞬間、ああ、この店は無いな、って早くも直感。
そのメカ、とりあえず車をガレージ内に移動しましたが、2分もしないうちに店内の私の方に向かってきました。
私といえば、すでに戦闘態勢。どんなタワゴトを言い出すか、興味津々。
そしてそのメカが言い出すには、
1)飛び石キズが酷いので、フロントガラス交換しないと、車検には通らない。
2)左側ヘッドライトの光量が足りない。バルブ交換が必要。
まず、飛び石キズは15年も前に入ったモノで、レジンによる補修済みです。
キズの拡がりなどもありません。
ヘッドライトはHIDですので、バルブではなくバーナーですし、その場で交換できるほどの在庫がその店にあるとは思えません。おそらくそのメカ、ハロゲンと勘違いしてます。
その店が誘導したかった落とし所としては、ガラス交換は大げさなので、補修で対応。
飛び石補修で、はい、+14,800円(コバックHPより)。
ハロゲンと勘違いしてたので、バルブを交換。
PIAAのHB3バルブ、はい、+6,500円。
こんなカンジで、余分な利ザヤを稼ぎたかったのでしょう。
フランチャイズ系の格安1日車検のお店では、こういった手法で利益を出したがるのは常套手段です。
私はとりあえず相手に、両方とも必要ないし、お店の営業に協力する気もないことを伝えます。
相手は憮然とした顔で突っ立ったままなので、はやく車のキーと車検証を返すように催促し、次からはこういった商売は、相手をちゃんと見てから行うように伝えて、さっさと退店しました。
車検切れまでもう日がなかったし、あまり他をお試しする余裕もなくなってきてたので、チューニングカーに慣れてて、まあまあの安さでやってくれる、横浜のとある指定工場で今回は済ませる事にしました。
そこでも、フロントタイヤがハミ出てるだの、車高がどうだのはあって、しっかり追加料金を25,000円ほどは取られましたけどね。
さて結論です。
チューニングカーの場合、どこで車検を受けるのがいいか?
ここ10年ほどは、指定工場ばかりを使ってきましたが。
やはりまた認証工場に戻ろうと思います。
たとえば、特定のチューニングショップで車作りを行ってきた人なら。
少々割高でも、そのショップで車検やってもらうのがベストだと思います。
でも、そういうホームショップを持たない、DIYが多い私みたいな人だったら?
個人でやってるような、小さめの無名のショップなんかが狙い目かと。
そういった小さいお店って、車検のような仕事でもバカにせずに、コツコツやってくれるトコ多いです。
私も以前は、そういった個人ショップを車検のみで利用してましたが。
今思えば、そのショップがいちばん良かったと思います。
料金的にも、サービス的にも。