足回り

CT9Aのサスペンション、ショックアブソーバー、ブレーキなどについて書いてみます。

ホイールやタイヤのサイズなどは、別に記載しておきます。

サスペンション

フロント=ストラット、リア=マルチリンクという形式は、初代エボⅠから基本的には変わってません。

しかし、ジオメトリー、材質、形状などは、モデルごとに大きく変わってきてます。特にリアのマルチリンクの進化はかなりのものです。

エボⅡの時は、リアのアーム類がつっぱって動きが渋い感じが強かったのですが、CP、そしてCTになってからは、ウソのようになめらかになってます。

CT9Aのサスペンションアーム類で最初にヘタりやすいのは、リアアッパーアームの取り付け部です。

比較的少ない走行距離でも、この部分にガタが出ることがあります。修理は片側が1万2千円ほどです。

ランエボ

サスペンションブッシュ

どんなクルマにも言えることですが、ある程度の距離を走ったら、サスペンション取り付け部のブッシュを交換することをおすすめします。

リアがマルチリンク式ですので、前後ストラット式のインプレッサなどよりは部品点数が増えますが、それでも前後ダブルウィッシュボーンのFD3S辺りよりは安く済みます。

だいたい12万円~15万円ぐらいです。

高いですが、絶対にやる価値があります。

各ブッシュの純正品はパーツ単体では出てこないのですが、旧ラリーアート製の強化ブッシュならまだあります。

強化ブッシュというと、乗り心地の悪化などが心配になりますが、ラリーアート製に関しては心配しなくても大丈夫です。

ちなみに、サスペンションのブッシュを交換する時は、リアデフマウントのブッシュも忘れずに交換してください。

というか、サスのブッシュがヘタるよりも、デフマウントブッシュが先にイカれます。このブッシュは6,7万キロぐらいの走行距離で交換が必要です。

*デフマウントの交換についてはコチラ

イカれると、アクセルのオンオフでガコッというショックが出たり、車庫入れなどでバックする時に、異様にガコガコとした振動が出ますのですぐ分かります。

費用は単体作業では2万円ぐらいです。

ショックアブソーバー

やっぱり車高調に交換する人がほとんどなんでしょうか?

好みのメーカー、ブランドは様々だと思いますが、OHだけはケチらずに行ったほうがいいです。

単筒式の車高調のショックアブソーバーの寿命は、驚くほど短いです。

純正のショックアブソーバーが5万キロぐらいは保つとすれば、車高調のはその半分以下だと思ってください。

特にオイルバルブの精度が高い製品ほど、短命の傾向があります。

オーリンズはその代表的な製品です。

私もオーリンズの少し古いモデル、PCVを10年以上使い続けていますが、7回OHしてます。いつもオーリンズのラボ・カロッチェリアでの作業ですが、ショック1本に1万円前後の工賃です。

*オーリンズのOHの記事はコチラ

安価な製品に多い、複筒式の場合はもう少し保ちますが、OH不可の製品が多いようです。

車高調でOHができない製品は、ほんとうにお金の無駄遣いになります。

性能も純正以下のモノが多いのでおすすめしません。

車高の調整ですが、ルックス重視でフェンダーとタイヤの隙間を無くしたい、という理由で車高を下げていくと、ロアアームが前後ともバンザイ状態(逆ハの字)になります。

これではサスがストロークした時のジオメトリーの変化値が、メーカーの設定とは大きく離れてしまいます。

ロールセンターアジャスター(アダプター)というパーツでこの問題を解決できますので、車高を下げる場合は必須です。

CT9Aに限らず、エボは2cm以上車高を下げると、ロールセンターアジャスターが必要になります。

ランエボ

ブレーキ

エボのブレーキといえばブレンボ(Brembo)です。

エボⅤから純正装備になりましたが、最初の頃は”スミンボ”と呼ばれてた事もありました。

これはイタリア本国のブレンボのカタログにエボモデルが載って無いことから、住友にライセンス生産させた住友製ブレンボ(スカイラインGTRなどに搭載)だと、誤解されていたからです。

三菱の広報もちゃんとした回答をしなかったのも原因でした。

後に三菱より正式なアナウンスがあり、ブレンボ社と三菱の共同開発によるランエボ専用品のために、ブレンボ社のカタログには不掲載であったことが分かりました。

もっとも、キャリパーOHキットをディーラーに注文すると、GTR用はニッサンのパッケージに入ってましたが、三菱からはブレンボのパッケージで出てましたし、価格も全然高かったので、スミンボというのはデマだろうな、と当時から思ってましたが。

さて、このブレンボキャリパーですが、サーキットでのタイムアタック専用車でもないかぎり、ノーマルで充分すぎるほどです。

雑誌にたまに書かれてるような、6POTに交換しなきゃダメだの、意外と容量が足らないなどといったタワゴトは無視して構いません。

このキャリパーで容量が足らないような走りができるドライバーと場所なんて、滅多にないでしょう。

筑波アタックで超有名だった、サイバーエボ社のエボⅦもキャリパーはノーマルでした。

ただ、ブレーキパッドは、純正は少しキビしいです。もちろん街乗りオンリーでしたら大丈夫ですが、サーキットはもちろん、峠でも、純正は役不足です。

パッド選びは各自の好みですが、今までに試してきたパッドの中には、性能以外のところで問題のある製品もあったことを書いておきます。

ブレーキパッドの性能というと、効きの強さや効き方(タッチ)、耐摩耗性や耐熱性が重視されます。メーカーのHPに記載されるのも、そういった部分だけです。

しかしパッドの発熱量やパッドのバックプレートの熱伝導率に言及してることは、雑誌の記事などでもまったくありません。

何が言いたいかというと、ある有名メーカーの人気商品には、発熱量が異常なものが存在したのです。

ちょっと走り込んだだけで、キャリパーのピストンシールをボロボロに焦がし、ローターを歪ませクラックを無数に入れてしまうほどの。

ダメージを受けたローターを製造元のメーカーに送って解析したもらったのですが、パッドの摩材からの発熱と、パッドのバックプレートの遮熱の低さ、その両方が市販化できるレベルではなかったそうです。

その後にいくつかのパッドを試しましたが、あんな異常に発熱するパッドは他になかったですね。

その製品は、今はもう販売してないみたいですが、当時は雑誌等での売り込みがすごくて、結構人気商品で売れてたみたいですが・・・恐ろしいです。

パッドのタイプは、ドライバーの好みや走り方により様々だと思います。私は街乗りの使いやすさや減りの遅さと、高温域でのタッチや効きの安定性の両立を求めて、カーボンメタル系やグラファイトメタル系のパッドを好んで使ってます。

ローターは消耗品と割り切ってますので、ディクセルの安い製品をバッドと同時交換で使ってます。

サーキットでのハード走行ではちょっと分かりませんが、街乗り+峠では十分です。

ブレーキラインですが、ステンメッシュ等の社外品に替えても、あまり体感できません。

エボに限らず、ブレーキラインに使われる材質は昔と違って十分に硬く、油圧が掛かって膨らむようなヤワなものではないからです。

ただ、10万キロも走ればブレーキラインも痛みが出てくる頃ですから、その時に社外品への交換もいいと思います。

社外品を選ぶ時には、キャリパー取付部のカシメが回転する物を選んでください。

たまにこの部分が固定式の製品がありますが、それでは取り付ける時に、ねじれて付いてしまいます。

その他

10万キロを超えた辺りで、タイロッドエンドにガタが発生してきます。

走り方によっては、もっと早く出るかもしれません。

普通はエンド部分のパーツだけを交換しますが、CT9Aというか、ランエボは、タイロッド自体を交換することをオススメします。

4WDで前輪が駆動してる上に、ハイパワー+太いタイヤで負担が大きいランエボは、タイロッドのガタが早くに発生します。

エンド部分にガタが出た時は、近いうちにタイロッドのジョイントにもガタが出ます。

先にエンド部分だけ交換してしまうと、後にタイロッド交換になった時に、タイロッドエンドの部品代も交換工賃もムダになりますので、タイロッド自体を交換して、一度で済ませた方がいいです。


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